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時には起こせよ大きな移住ムーブメント~地域おこし協力隊編~

こんにちは!
豊岡市で起業して5年目、本屋さんで映画プロデューサーで市民ライターの西垣です。ちなみに、飛んでるローカル豊岡のスタートと同時期から移住促進に関わり、こちらも5年目です。

前回の記事、時には起こせよ大きな移住ムーブメント~SMOUTで全国1位に~で実は豊岡市が移住者に最も注目されているまちの一つになっていることをお伝えしましたが、今回のテーマは「地域おこし協力隊」についてです。

最近よく聞くけど「協力隊」って何?
どんな人たちなの?
なんでこんな地方の田舎にやってきて活動してるの?????
と思っておられる方に今回は「地域おこし協力隊」についてのお話です。

これまでに69名の地域おこし協力隊が豊岡にやってきました

劇作家で、劇団「青年団」を主宰する平田オリザさんは、2021年4月、豊岡市に開学した兵庫県立芸術文化観光専門職大学の学長就任にあたり、ご本人はもちろん劇団の本拠地ごと豊岡へ移住されました。世界的に有名な劇作家が豊岡を選んだのと同じように、地方に価値を見出している人たちがいます。
それは、地域おこし協力隊の皆さんです。

2021年11月現在、豊岡市は69名の隊員を受け入れ、現役隊員は42名、卒業後定住しているのは15名。昨年は30名の募集に対してなんと132名の応募があったようです。

地域おこし協力隊とは、過疎や高齢化の進行が著しい地方において地域外の人材を積極的に受け入れ、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした総務省による制度です。
協力隊の皆さんは、活動終了後の地域への定住・定着も視野に入れて2~3年間の活動期間を過ごします。


総務省 地域おこし協力隊制度

豊岡市では、地域おこし協力隊制度を使って様々な人材を受け入れてきました。
「ここ数年で豊岡が大きく変わった」「新しくなった」という声を聞きますが、その理由のひとつに、協力隊の皆さんの活躍があります。


地域おこし協力隊の仕事はワクワクに溢れている!

豊岡市の現役協力隊 42名中 40 名は、募集時に市が提示したテーマに基づき活動する“ミッション 型”の協力隊です。教育、アート、農業、伝統工芸、情報発信、地域に根付いた活動などの分野でそれぞれミッションがあり、3 年間活動します。
どれも簡単なお仕事ではありませんが、地域や人と直接関わったりすることも多くとてもやりがいのある仕事だと、私は思います。

ここで、実際に豊岡で活動されている地域おこし協力隊をご紹介します。

 

上田詩恩さん(兵庫県太子町出身)
協力隊以前は、専門学校で動物園の飼育方法やショーに関する知識などを学んだ上田さん。実習先の子ども向けキャンプを行っている企業で地域おこし協力隊制度を知り応募されました。

協力隊になった目的は、但東という自然豊かな場所で子どもたちが主役の遊び場を開くこと。
現在は但東町にあるたんたん温泉を拠点に活動し、たんたんプレーパーク(子どもたちが自分の責任で自由に遊び、自分のやりたいことや挑戦してみたいことを最大限にカタチにする遊び場)を毎月開催されています。

上田さんのコメント
「但東地域の自然を活かして、たんたん温泉の下にある広場でプレーパークを開催するなど、子ども向けイベントの企画運営をしています。 但東地域のみなさんはとても温かく、実る野菜やお米、果物も美味しくて、心安らぐ楽しい暮らしを送っています。 他の隊員もいろんな経験をされてきた方が多くて、話を聞くだけでも勉強になります!」

 

武藤保貴さん(大阪府出身)
大学で地域過疎・活性化について専攻し、卒業後はインターネット関連会社で人事・経営企画に従事していた武藤さん。
協力隊になった目的は、ずっと関わりたいと思ってきた自然保育の分野で新しい挑戦をしたかったから。
現在は市内の自然体験・自然保育の充実に向けて、豊岡市初の「森のようちえん」の設立や、市内の自然体験活動のサポートをされています。

武藤さんのコメント
「子どもたちを自然の中で育てる森のようちえんを立ち上げ、来年からは平日保育を始める準備をしています。人・食・自然が豊かな豊岡市で、仕事も遊びも満喫しています!」

 

田口幸子さん(東京都出身)

実家の食料店で働いていた田口さんは、旅行で訪れた城崎温泉で見た麦わら細工の作品に一目ぼれ。後にかみや民藝店の神谷さんから地域おこし協力隊のことを聞き、麦わら細工を一生の仕事にしたいと応募されました。現在はかみや民藝店で「麦わら細工」の伝統技術継承を目指し活動されています。
田口さんの活動はInstagramで見ることができます。

田口さんのコメント
「私は城崎のかみや民藝店で麦わら細工を学んでいます。麦を自分たちで育て、収穫し、その麦を桐箱にはっていきます。私は麦がもつ輝きに魅了され、一生の仕事にしたいと思いました。 移住してよかったことは、城崎は町の人がとてもあたたかいので、毎日楽しく過ごせることです。」

さらに 2021 年の 9月からは、隊員自身がまちの発展につながるアイデアを提案し、市内での起業を目指して活動する“起業型”の協力隊が活動を開始しました!
活動期間は 2年間です。

左・顔さん  右・中田さん

顔冰(えん ひょう)さん(中国蘇州出身)
旅行好きな顔さんは、会社員の時に移住スカウトサービス「SMOUT」で地域おこし協力隊制度を知りました。
現在は、空き家を活用し泊まるだけじゃなくアクティビティが楽しめたりいろんな人と繋がれたりするゲストハウスの開業を目指しています。

顔さんのコメント
「今年度9月から、豊岡市起業型地域おこし協力隊として着任いたしましたエンと申します。
これまでの仕事で得た、まちづくりや古民家再生に関するゲストハウス事業の経験を活かし、地域活性化に繋げたいと考え起業提案しました。趣味は旅行、写真を撮ることです。豊岡市や但馬の素敵なところをいろいろな地域の方や海外の方にも知ってもらえるように頑張ります!どうぞよろしくお願いいたします。」

中田樹さん(豊岡市出身、加西市育ち)
フランスのリールというまちにある大学院を卒業された中田さん。自然豊かで馴染みのある豊岡で自分がやってきたことを活かしさらに成長したいと考え、起業型地域おこし協力隊に応募されました。
現在は、ゼロウェイスト(ゴミ0)の考えを広く伝えるための拠点となる量り売りのショップを作ろうとされています。

中田さんのコメント
「みなさんはじめまして中田樹(なかたたつき)です。 自分が生まれた街にこのようなカタチで帰ってこれたこと、すごく嬉しく思います。豊岡に来てからは毎日新しいことの発見ばかりで、自然、文化、コミュニティなどについてたくさんのことを学んでいます。様々な方にお会いし、勉強をさせていただく中で常に意識をしていることは、マクロの視点とミクロの視点どちらも持つこと、そして消費者目線だけでなく生産者目線を必ず持つことです。ゴミ問題や食品ロス問題も一概に誰が悪いどこが悪いというのは言えません。様々な角度からリサーチをして問題解決やサスティナブルなアイディアを生み出すことができたらと思っています。よろしくお願いします。」

おふたりとも活動開始して間もないですが、日々豊岡を駆け回り奮闘されています!

他の隊員もそれぞれ目標やアイデアを持ち、活動しています。
私は実際に協力隊の方と接することが多くありますが、私が知らない知識や豊岡の外のまちの文化を皆さんお持ちです。同じ地域の中だけの情報しか持たないことは今後の大きなリスクと私は考えていますので、外から来られた方の考え方や知識はとても刺激的です。

市広報やフェイスブックでは随時隊員紹介をしていますのでご覧ください。
豊岡市地域おこし協力隊Facebookページ

 

 

 

都会ではなく地方で働きたいという人たちが増えています

地域おこし協力隊に応募される方の年代は様々ですが、大学を卒業したばかりの若い方もおられます。
高校や大学を卒業して企業に就職するのも良いことですが、それとは別の働き方として“地方で活動したい”と考える若者たちが増えているように感じます。
私の年代(現在40歳)は企業に就職することが一番安心という考え方が大半を占めていたので、このような新しい考え方ができる人たちを私はとても羨ましく感じています。
(私が応募したいくらいです 笑)

これまで誰も経験したことがないような分野に挑戦できることを「ワクワクする仕事」と思う人たちがこうして豊岡にやってきてくれています。


僕自身長い間豊岡で暮らしていますが、確かにここ5年くらいでいろんなことが始まってきた印象です。

新しい大学ができたりいろんな団体が立ち上がったり、最新の演劇が観れたりアーティストが移り住んできたり、、、
私が子どもの頃には想像もできなかったようなことがこのまちでは起こっています。

みんなに知ってほしい!豊岡の協力隊のこと

2021 年11月現在、これ までに 27 名の隊員が活動を終了し、そのうち 15 名はその後も市内に定住されています。
この数字を少ないと見るのか、多いと見るのか?それは人それぞれだと思いますが、私は関係人口(移住した「定住人口」でもなく、観光に来た「交流人口」でもない、地域や地域の人々と多様に関わる人々)も含めて、確実に豊岡の人口減少対策にもなっていると思いますし、何より協力隊の皆さんが活躍できるまちというのは「多様性に溢れたまち」といえると思います。

実際に「地域おこし」って会社みたいに売り上げが設定されるようなものでもないし、建物が建つわけでもありません。
明確なゴールが無いし、地域の人々の解釈も様々だと思います。

協力隊の任期は最長3年と、とても短い期間です。
目に見える成果が出ないことの方が多いのかもしれません。
だからこそ、受け入れ側の私たちは協力隊の皆さんには地域の情報や具体的な課題を伝え、生活基盤を手助けしたり物事が円滑に進むようにキーマンと繋げることも必要なのかもしれません。

こんな難しいミッションなのに“豊岡なら何かができるかもしれない!”と希望を持って協力隊に応募してくれた人たちが全国にいる。
このことをこのまちに住んでいる皆さんに知ってほしい。

そう思って私は今回の記事を書いています。
知ってますか?豊岡ってすごく注目されているんですよ!と。
私はこのことが凄く誇らしいし、これからもいろんな人に自慢していきたいと思っています。

今日は「地域おこし協力隊」についてお話しました。過去に地域おこし協力隊の方へのインタビュー豊岡移住者インタビュー ~井坂浩さん編~を記事にまとめていますのでよろしかったらご覧くださいませ。

ここまで書いて思いました。

やっぱり人が集まるまち「小さな世界都市 豊岡」って面白い!

 

この記事を書いた人

西垣崇史

兵庫県城崎温泉出身。高校卒業後に大阪で映像を学ぶ。
ITインフラが地方でも普及した事で”都会と地方の距離が無くなった”と感じUターン。
市内企業の勤務を経て2016年に「人が集まる場所を作る」をテーマに個人事務所を設立し独立。
飲食と宿泊機能を持つ書店「BookStore iChi」の経営の傍ら株式会社EVAの代表取締役を務める。プロデュースした短編映画「桜が咲く頃 交わした約束は、」がマドリード国際映画祭で外国語最優秀短編映画賞を受賞。

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