ひと粒の大豆が食卓に並ぶまで~「てまとひまと」大豆体験②③~
ひと粒が、食べものになるまでを知る時間
「食べ物を大切にしなさい」
今まで私は、この言葉を当たり前のように子どもに伝えてきました。
でも、その意味を言葉だけではなく、体験を通して伝えられる機会が豊岡にはありました。
今回参加したのは、11月に開催された大豆収穫体験のつづきの
「大豆の選別会」と「豆腐づくり体験」。
家族4人で参加したこの体験は、想像以上に“子どもに伝わる時間”になりました。
▲選別する大豆の乾燥・脱穀 の関係で開催日時が変更になりました。
まずは大豆の選別から。
割れているものや色の違うものを取り除く作業なのですが、
子どもたちはこれをまるでゲームのように楽しんでいました。
「黒はレアだ!」
「これ緑だで!」
そんなふうに言いながら、夢中になって豆を選んでいきます。
ただの作業のはずなのに、気づけば子どもたちはしっかりと豆と向き合っていて、その姿がとても印象的でした。
▲一粒一粒しっかりチェック
大豆が豆腐になる瞬間
そして豆の選別から一か月後・・いよいよ豆腐づくりです。
水に浸した大豆をすりつぶし、火にかけ、絞ることで豆乳とおからに分かれます。
豆乳ににがりを加えると少しずつ固まり、豆腐へと変わっていきます。
その変化を子どもたちはじっと見つめていました。
固まりはじめた豆腐を見て、
「きれ〜い」
と目を輝かせながら言ったその一言が、今でも印象に残っています。
今回の体験の主催は「てまとひまと」さん。
そして豆腐作りの講師として「いきものばかり」の小林さん。
小林さんはご自身のアトピーをきっかけに、身体にいいものを自分で作ることを大切にされてきたそうです。
食べるものが身体に与える影響。
その話を直接聞けたことも、今回の体験の大きな学びでした。
会場は満員で、とてもにぎやかな雰囲気。
同じ調理台になった親子と会話をしながら一緒に豆腐を作る時間もとても楽しく、こうした出会いも含めて心地いい時間でした。
体験が、そのまま食卓へ
体験を終えて、自宅に持ち帰った豆腐とおから。
その日の夕飯には、卯の花とおからサラダを作ってみました。
普段はあまりこういったものを好まない子どもたちが「おいしい!」と言いながら、たくさん食べてくれるその姿を見て、ああ、今日の体験がちゃんと食卓につながっているんだな、と感じました。
▲子ども達が沢山食べてくれました。
私が子どもの頃の記憶
私自身、小さい頃からおばあちゃんが近所の人たちと縁側に集まって、
おしゃべりしながら食材の下ごしらえをしている様子を見て育ちました。
でも今は、共働きの核家族。
日々の生活の中で食べものにそこまで手間や時間をかけることは難しく、
子どもにとっても、そうした体験は身近なものではありません。
だからこそ今回のように、
親子で一緒に食べものに触れる時間があることに大きな価値を感じました。
「食べ物を大切にしなさい」と言葉で伝えるだけではなく、
自分で見て、触れて、感じることで、子どもなりに何かを受け取っているように感じます。
食べ物との距離が変わった
都会にいた頃は、食べものはただ「買うもの」で、
誰がどんなふうに作っているのかを考えることはほとんどありませんでした。
でもここでは、作る人の話を聞いたり、実際にその手仕事に触れたりする機会があります。
そうした時間を子どもと一緒に過ごせることに私は大きな価値を感じています。
今回の体験を通して食べ物の背景を知れたことは、親にとっての学びであるだけでなく、子どもに何かを伝える時間にもなるのだと感じました。
言葉より伝わるもの
「食べ物を大切にしなさい」
そう言ってきた私自身、本当はどう伝えたらいいのかよく分かっていなかったのかもしれません。
でも、豆を選んで、豆腐をつくって、最後に「おいしい!」と夢中で食べる子どもたちの姿を見て、言葉以上に伝わるものがあるのだと感じました。
こういう時間を、子どもと一緒に持てること。
それが、豊岡で暮らしていてよかったと思う理由のひとつです。




