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但東の春を食で楽しむ

こんにちは。但東在住、市民ライターの西垣由佳子です。
春は駆け足で過ぎ、あっという間に6月。間もなく梅雨入りです。

 

春の芽出しを味わいたい

但東に暮らし始めて16年目。
この春は「自然のめぐみ」をたっぷりと味わいました。「自然のめぐみ」とは、柔らかくて、ほろ苦い…そう、植物の芽生え、つまり野草です。

私の周りには、春になると野草や山菜を調理して食べている方がたくさんいらっしゃいます。
その美味しそうなこと…!

若い頃は野草を食べたい、などと思わなかったのですが、近ごろは滋味深い味わいのものが無性に食べたくなるのです。

 

冬の間、じっと寒さに耐えていた植物たちは、気温が上がってくると、どんどん成長を始めます。春先、家の周りでも、瞬く間に存在感を増してくる雑草たち。…うん?雑草…?

「世の中に〝雑草〟という草はない。どんな草にだって、ちゃんと名前がついている」

これは植物学者である牧野富太郎の言葉です。そう、どの植物にもちゃんと名前がついていて、それぞれ個性があるはずです。

食べられるか、食べられないかの視点で見始めると、もはやそれは雑草ではなく「野草」に変わります。そして、家の周りはまさに野草パラダイスであることに気づいてしまったのです。

春の野草生活

我が家のヤブカンゾウは柿の木の下に群生した

数ある野草の中でも、クセもなく、家族にも高評価なのはヤブカンゾウ。

キュッキュッとした歯ごたえが酢味噌にマッチ

これは間違いなくお酒がすすみます。また、このヤブカンゾウの蕾がねらい目で、咲く寸前の蕾がとても美味しいとか。また栄養価も高く鉄分が豊富です。中国では金針菜と呼ばれ、高級食材となっています。私はまだ食べたことはないのですが、今年こそ食べたいと思っています。

 

一度見たら忘れられないこのビジュアル

こちらは野草ではなく、キノコ。春にひっそりと現れるアミガサタケです。

クリームとの相性が抜群

鼻に抜けるキノコの香りが濃厚なクリームソースと絶妙なハーモニーを奏でました。今、思い出しても次の春が待ち遠しくなるほどの美味しさです。

ちなみにこれは毒のあるキノコですので、正しい下処理をしなければ食べられません。食べようと思われる方は、ご自分でしっかり調べることをおすすめします。

オニヒカゲワラビは道の駅でも売られているそう

そして、手軽に食べられるこちらのシダ植物。

オニヒカゲワラビです。黒い毛が生えていますが、洗って擦るとただのワラビみたいになります。しかも、なんとこれは、あく抜きいらず。もう一品ほしい時のお助けおかずになります。

茹でてマヨネーズやポン酢などシンプルに

ワラビもコゴミも山菜は文句なしに美味しいですね。まぁ天ぷらにしたら何でもおいしくなってしまう、というのが本音です。

他にも、スタンダードな春の野草を毎日収穫して食べて…冬の間にたまった老廃物もすっかりデトックスできた気がします。

 

春の定番、仲間たちとヨモギ餅づくり

しかし、そんな野草生活の中でもやはり楽しいのはヨモギです。

餅に入れればヨモギ餅。お湯に入れればヨモギ湯。冷え取りには最高です。

昔の人はヨモギの葉裏にある毛を集めてお灸にしていたそうです。言い尽くせないくらいの効能たっぷりのヨモギはえらい。

ヨモギのジェノベーゼソースはピザやパスタ、調味料代わりにも

この春、私が食べた野草はざっと20種類以上。

天ぷらや餃子、ジェノベーゼ、デザートまで美味しくいただきました。

これでも、お初の野草を食べるにあたってはかなり本気で調べました。間違ってお腹を壊したり、病院行きになっては大変ですからね。

あと、一度にたくさん食べない!これが大切です。いくら美味しくても、少しずつ、様子を見ながら、が基本です。また、農薬や犬のオシッコがかかっていそうな場所は避けて、よそ様の敷地内に入ってはいけません。

ドクダミはジュウヤク(十薬)とも呼ばれ、干してお茶や薬、化粧水にもなる

それにしても、昔の人は身近な植物を上手に使っていたんですね。食べたり、薬にしたり、時には暮らしの道具の材料として利用してきたことがよくわかりました。

そして私は何を見ても、これは食べられるのかな?と、考えるようになりました。

手が届く場所にいろいろな野草が生えていて、遠慮することなく食べられる…これも田舎暮らしの特権かもしれません。

現代の暮らしに上手に取り入れながら、ちょっと豊かで幸せな気持ちになれる、そんな気ままな野草生活を楽しんだ春でした。

 

この記事を書いた人

西垣 由佳子

2008年4月に夫の故郷である但東町に移住。但東町での子育てを通して、人の温かさや自然の面白さに目覚める。2021年の春、友人と共に「但東 野あそびくらぶ いつなっと」を立ち上げる。但東の自然とあそぼう、を合言葉に2か月に1回、ときめく自然観察会や自然体験活動をしている。

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