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緑色の高原、神鍋高原キャベツの朝

こんにちは!

豊岡市日高町の神鍋高原で民宿を営む、市民ライターの飯田勇太郎です。

 

平成最後の夏も神鍋高原は合宿シーズンで大忙し。

神鍋高原は小学生から大学生まで。京阪神の様々な学校の生徒さんで賑わっています。

 

今日はそんな夏シーズンになる少し前のお話。

 

僕の民宿は5月の中旬から6月の中旬まで林間学校や自然学校のお客様が続き、それが終わると7月の上旬からの夏シーズンが始まるまで、いわゆる閑散期になってしまいます。

 

その間、何をしているかと申しますと、私たち一家は農家へと変身し、ある野菜を出荷しています。

 

緑の

パリパリした

ほら。サラダには欠かせない…あの…

 

そう、キャベツの出荷を行っています!

 

 

実はここ神鍋高原は、キャベツの名産地なんです。

“神鍋高原キャベツ”は昭和22年から栽培が始まり、今は兵庫県認定食品(ひょうご推奨ブランド)の認証も受けた、立派な野菜。

僕もこのキャベツを食べて大きくなりました!

キャベツと僕の一日

キャベツの出荷とはどういうことをしているのか。

1日の流れでご説明します。

 

まずは収穫。

日が昇り暑くならないうちに、朝早くから収穫はスタートします。

つなぎを着て、頭に白いタオルを巻いて出発。

準備するのは手袋と包丁1本。

朝露に濡れていたりするので下だけ防水ズボンを履いて出かけます。

専用の収穫台車を押してキャベツ畑に入ります。

大きく張りのいいキャベツを選び、包丁でザクっと切り取り、収穫台車に乗せていきます。

台車がいっぱいになれば、そのキャベツを軽トラに乗せます。

1段目はキャベツをそのまま置きますが、2段目からは上下逆さまに積み上げます。

キャベツを傷つけないようにするためです。

下手な積み方だと多く乗らなかったり崩れてしまうので、いかに綺麗に積むかが重要です。

次にキャベツの掃除。

軽トラいっぱいのキャベツを農作業小屋に丁寧に下ろします。

そしてキャベツをきれいにしていきます。

汚れていた拭いたり、虫がついていたらとります。

そして僕たちは“鬼葉(おにば)”と呼ぶんですが、丸いキャベツの外側でめくれて開いている葉を1枚だけ残るように切ります。一般的には外葉と呼ばれていますかね。濃い緑色をした固い葉のことです。

1枚だけ残すのは、実際に食べる部分に傷をつけないため。

出荷する野菜なので、汚れや傷に細心の注意を払います。

最後に出荷。

掃除してきれいになったキャベツを同じ大きさに分けて専用のダンボール箱に詰めます。

キャベツの大きさによって1箱に入る数が決まってきます。規格は1つの専用のダンボールに5玉、6玉、7玉、8玉、9玉、10玉詰めの6段階。1箱に入る数なので5玉が一番大きくて10玉が一番小さいです。

そして等級はいいものから、秀、優、特の3段階に分けられます。
きれいなものは“秀”、日焼けしていたり穴があいていたりしたら“優”、規格外に大きかったりすると“特”などに振り分けます。“優”や“特”は味が劣るかと言ったらそうではありません。

こうして何十箱にも詰められたキャベツを出荷場に持っていき、終了となります。

その後はどのようにお客さんの手に渡るのか。
ここからは農協のキャベツ担当の方に教えていただきました。

出荷したキャベツはトラックに積まれ神戸や大阪の市場、または豊岡の中央青果などに運ばれます。
そして八百屋さんや量販店などが競り落し、「神鍋高原キャベツ」の名前で店頭に並びます。“優”や“特”のキャベツはお好み焼き屋さんなどに行ったりするらしいです。

実際に手にとっていただいているのを想像したら嬉しいですね!

神鍋高原キャベツがおいしい理由

そんな神鍋高原キャベツが美味しいのはちゃんとした3つの理由があります。

1つ目は気候です。

キャベツを植えるのは前の年の10月頃です。そこから収穫までに冬を越します。神鍋高原は積雪が多く、雪の下で時間をかけてじっくりと大きく育ちます。

2つ目は温度。

神鍋高原は昼と夜の寒暖差が大きいので、養分を蓄えキャベツが甘くなります。

そして最後に、神鍋高原ならではの土壌。

約2万5千年前の神鍋山の噴火の影響で、神鍋高原一帯は火山灰が由来した「黒ボク土」という土で形成されています。この黒ボク土はその名の通り色は黒いのですが、水はけがよく、養分を保持する力が優れています。

そんな環境で作られたキャベツは甘く、ずっしりとするほど詰まっていて、シャキシャキ食感の歯ごたえのいいキャベツとなります。

1枚1枚がしっかりしていて、熱を加えるとさらに甘さが引き立つ神鍋高原キャベツは、個人的には煮物料理に使うのがおすすめです!

自慢の名産

そんな地元住民にも愛されているキャベツですが、道の駅神鍋高原では毎年6月下旬に神鍋高原キャベツ祭りを開催しています。

楽しみにしている人も多いこのイベント。

その年に収穫された新鮮なキャベツの販売に始まり、恒例のキャベツの早食い競争や小学生以下限定のキャベツ運び競争などのイベントもあります。

今年も大賑わいだったこのイベントに、僕の家で収穫したキャベツが使われました。

 

地元に名産があって、それを自分が収穫しているって、なんだか少し誇らしいです。

キャベツの収穫は結構大変で、出荷をやめてしまう農家さんも多いのが現状です。

でも「神鍋高原のキャベツって美味しいよな」と言ってくれる人が周りにいて、あげたら喜ぶ人がいて、まだまだ頑張っていかないといけないなと思います。
地元の名産、地元の誇りを繋げていきたいです。

 

そうそう、神鍋高原キャベツを簡単に手に入れたいって言う人へ、お得な情報です。

6月下旬の朝方、神鍋高原の畑。
つなぎを着て頭に白いタオルを巻いている人に

「ご苦労さんです!さすが神鍋!おいしそうなキャベツ作ってますね!」

と声をかけてみてください。

気を良くした人が

「おいしいですよ!持って帰りますか?」

と、採れたてのキャベツを渡してくれるかもしれませんよ!

この記事を書いた人

飯田 勇太郎

実家の民宿のあとつぎ。
高校まで豊岡市で過ごし、大学進学とともに神戸へ。大学、就職を経験し、地元である神鍋にUターン。
その後、旅行会社に就職し、30歳を機に家の仕事をつぐ。
趣味は音楽鑑賞、ライブ鑑賞。

http://www.4n8.jp

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