MENU

豊劇でフジロックならぬプチロック!?vol.1

自己紹介

豊岡劇場 大ホールステージ 🄫bozzo

はじめまして!この度市民ライターに就任しました、豊岡市地域おこし協力隊の傳川 一美(つたがわ かずみ)と申します。どうぞよろしくお願いします。
協力隊としての任務は、豊岡の魅力を発信する事。FMジャングルというコミュニティラジオで毎週月曜・火曜の朝、パーソナリティーをしております。

住まいは神奈川、職場は東京と長らく関東で生きてきましたが、2022年11月に、何の運命のいたずらか豊岡へやってきました。移住してから2年8ヶ月、偶然にもロックの日イブである2025年6月8日に、豊岡劇場で『豊岡プチロックフェス』を開催しました。

イベントを企画すること自体が初めてで不安もいっぱいでしたが、結果は・・・大盛況でした!
この『豊岡プチロックフェス』について、2回に分けて綴ります。

1回目は、フェス開催に至るまでのストーリーを。
2回目は、フェスに向けて創った豊岡ソングについて。

ごゆるりとお楽しみいただけたら幸いです。

なぜにプチロックフェス?

豊岡プチロックフェスに出演した高校生バンド

Aity7階にFMジャングルのスタジオがあり、ガラス張りの窓からは、交流サロンで勉強をしている高校生たちが見えます。仕事柄、中・高校生にインタビューする事が多いのですが、みんないい子で、一生懸命で、瞳が輝いています。でも気になっていたのが、勉強で忙しそうだな、学生らしい青春、しているのかな?ということでした。

私自身が中学時代からバンドを組んで、色々なバンドのライヴを見て刺激を受けながら内なる思いを自分で歌にしてきた経験から、音楽で何かできないかな、と思いました。
大人も子どもも内なるパッションを解き放ち、殻を破って青春してほしい。私もしたいぞ!
それにはロックフェスが最適だ!と考えたのです。

以前、音楽の仕事をしていたことがあるので、全国各地に旧い音楽仲間がいます。
みんないくつになっても素晴らしいアーティストです。その仲間たちを呼んで、豊岡市民と代わるがわるライヴをしたら面白いことになるのではないかと思いました。

なぜに豊岡劇場?

映写室からイベントをあたたかく見守る豊岡劇場の田中支配人

はじめは本当に小さく小さくやるつもりでした。大きなホールではなくいい感じのご飯屋さんで。
でも「もっと大きなところでやったら?きっとできるよ!」とある人からアドバイスを受けました。そんなに大勢のお客様を呼べる自信など微塵もなかったので、その時の私には少々荷の重い提案でしたが、「やるなら豊岡劇場でやりたいです」と言っている自分がいました。豊岡で最初にできた友人からも「やりましょうよ!豊劇満杯のフェス!」と背中を押してもらいました。それでチャレンジする気持ちが生まれました。

豊岡劇場は大好きな場所です。雰囲気抜群。大ホールと小ホールがあるから、まるでフジロックフェスティバルのホワイトステージ、グリーンステージのように、行き来して楽しめる。
(・・・これはフェスになる!)と思いました。

どれくらい費用がかかるか、どれほど大変かもわからないまま。石橋を全く叩かずに、そうと決めたらとにかくGO!
まずは豊岡劇場の田中支配人にご相談。お互いに初めての経験ですが、なんとかできそうな気がしました。あとで聞いたら田中さんも私と同じ楽天的なタイプだそうで。それがかえって良かったのだと、思っています。じゃなきゃきっとできなかった(笑)

出演者は総勢17組に!

ポールダンサー kazuko & nao

まずは私の信頼している音楽仲間達に声をかけたところ、神奈川や熊本から来てくれることになりました。長野にも才能あるアーティストがいます。今回は出演ならずでしたけれども、彼女には豊岡ソングを創りたいと相談して、その編曲をお願いすることにしました。これについては次号で詳しくお伝えしますが、ともかく仲間たちの協力あってスタートしました。

そこから波及して、鳥取のラッパーや東京のポールダンサーからも出演希望の連絡があり、ますます面白いことになってきました。ジャンルは問わず、心がロックならOK!とし、多様性を重視。
そして豊岡の大学生にも早いうちから協力をあおぎ、福知山など但馬近郊のアーティストさんにも声をかけました。

もちろん高校生の枠も設けていたのですが、出演交渉がなかなか難しく、スムーズに事を運ぶには誰にお願いしたらよいものかと困っていました。そんな時、近畿大学付属豊岡高等学校に軽音楽部があることを知り、顧問の先生に問い合わせたところ大変快くご協力いただける事になりました。ようやく歯車が回り始めたように感じました。
なんと出演バンドを部内のオーディションで決めてくださる、ということに。
なんてエモーショナル!そこに私も審査員として呼んでいただきました。
うまく弾けなかったと泣いていた子も、堂々として見えたけど実は人一倍緊張していた子もいました。青春です。ドッキドキのオーディションを経て、3バンドが出演してくれることになりました。

そして問題はスペシャルゲストです。有名アーティストを1組は呼びたいと、ダメ元で色々アタックしてはみましたが、スケジュールや条件が合わなかったり、無反応だったりとなかなか決まらずどん詰まり。気分転換に城崎温泉へ行き、マイナスイオンを浴びていたら頭がスッキリ!
(私たちがいいライヴをやればいいんだ)と、自らのエネルギーが湧いてくるのを感じました。

そんな時、豊岡で噂のファンキーバンドのライヴを見ました。是非プチロックフェスでトリをお願いしたいと声をかけたら、めちゃめちゃ素敵な人たちで、出演もご快諾!
・・・いただいたのも束の間。人気バンドなので、同日に別のイベントが被っていたため、残念ながら出演ならず。オーマイガー。ところがここで大どんでん返しが!

「僕らが出演できない代わりに」と、スペシャルなアーティストを紹介してくれました。
その名も、ガガガSPのボーカル、コザック前田さんです!
マジですかーーーーーーー!?ご縁を繋いでくださったことに、感謝と驚きでいっぱいでした。

(音楽で青春できないかなー)という思いつきから始まった豊岡プチロックフェス。
一番『青春』にピッタリなアーティストが来てくれるとは!

こうして、全17組(54名ほど)の出演が決定したのです。

スタッフは気づけば30人に!

チケット兼リストバンド

はじめは私ひとりでした。元々、人にお願いごとをするのが苦手です。「手伝って欲しい」だなんて言えません。でも相談ならできる。そうやって相談できる人がひとりふたりと少しずつ増えていきました。デザイナーさんと一緒に、フライヤーやポスターのデザインを考えるのはとても楽しかったです。ギター・コウノトリ・円山川を組み合わせた素敵なロゴマークも作っていただきました。
しかし完成したフライヤーにミスが発覚。 完全に私のミスでした。
ウソでしょーーーー(涙)ウソじゃありません 1000枚の修正作業をすることになりました。
豊岡劇場の一角で修正用のシール貼り。すると代わる代わる人が来て、手伝ってくださいました。本当に豊岡の人はみんな優しい。ひとりじゃとても無理でした。数日かけてどうにか全部貼り終えました。
チケットは当日手首につけていただくリストバンドと兼用に。一般はムラサキ、学生はレッド。段々フェス感が出てきました。いよいよチケット販売開始。本当に大変なのはここからです。

神奈川から出てきてまだ2年とそこらの私が、豊劇を満杯になんてできるのか?
チケット販売を開始しましたが、これがなかなか売れません。出演者もスタッフのみなさんもチケットの手売りは厳しい様子。フライヤー配り、ポスター貼り、ラジオやSNSで広報。がしかしチケットは全然売れなくて、不安な気持ちが募り、ひとりでご近所にポスティングして回ったりもしました。

そうこうしているうちに「スタッフをやりたい」と言ってくださる方も出てきて、PA・受付・物販・照明・駐車場案内・映写・撮影など、フェスの当日手伝ってくれるというスタッフの人数は、およそ30名になりました。なんてありがたいこと!
でもその頃は、(このままではお客様よりも出演者とスタッフの方が多い!?)と心配が絶えませんでした。

音楽ってすごい!

感動のフィナーレ 🄫bozzo

いよいよ当日を迎えました。奇跡は起きました!想定の倍以上のお客様がご来場くださったのです。
延べおよそ150名、スタッフと出演者を含めたら、およそ230名が豊劇に集結しました。
12:30~20:00までと長丁場でしたが、オープンからからたくさんのお客様が来てくださいました。

前座は大ホールで豊岡市民バンド、Octoberz!のっけから最高なステージで盛り上げてくれました。楽しい司会は、市民ライターでお馴染みの松潤です。
そのあとすぐに高校生3バンドの登場。緊張してたあの子もこの子もみんな輝いていました。高校生バンドのトリ、ortusの「stand up!」という声掛けで客席のボルテージもぐんぐん上がっていきました。
小ホールも負けていません。芸術文化観光専門職大学の公認サークル、なまおとからスタートです。満杯のお客様に楽しんでいただきました。

また、今回のフェスでは費用を抑えるために照明は最低限にして、代わりにせっかくの映画館なので、プロジェクターにバンド名をドーンと出しました。

そんな中、阿蘇の火星人ことkiki13は、30分間のオリジナル動画を作成。それをバックに、完璧なエンターテイメントショーを魅せてくれました。まさにkiki13ワールド!お客様も振り付け覚えて、一緒に踊っていました。

私もhorohanaというユニットで出演したのですが、大ホールでポールダンサーと夢のコラボレーションをしました。実はもう何年も前に、ポールダンサーkazukoと「いつかコラボしたいね」と語っていたのです。彼女は私の昔のバイト仲間なのですが当時からどこかぶっ飛んでいて、しばらくロンドンに住んでいたかと思ったら日本に帰って50歳を過ぎてからポールダンスを始めたのです。その時はまさか数年後、豊岡で同じステージに立つなんて想像もしていませんでした。

そして、鳥取のラッパーO.G.Kと、神奈川のロックバンドmoreathのギターは、実は兄弟つながり。
遠く離れた兄弟が、ここ豊岡で競演し、熱いステージを魅せてくれました。
ちなみにO.G.K氏は、幼き頃から豊岡劇場をこよなく愛する豊劇ファンなのだそう。今回、遠方から来た出演者たちもみんな、一目で豊岡劇場のファンになってくれました。

その他、全17組のレビューは、是非豊岡プチロックフェスのInstagramをご覧ください。https://www.instagram.com/toyooka_petit_rockfes/
どのアーティストもみんな素晴らしいパフォーマンスだったので、ここでは語り切れません!

お客様はそれぞれのペースでライヴを見たり、フードやドリンクで一息ついたり、ロビーで友達と語らったりとまさにフェスでした。フードの出店者さんたちもみなさん合間にフェスを楽しんでくださった様子で、「楽しい~!」と声をかけてくれたのがとても嬉しかったです。
長丁場と思っていたのですが、あっという間にエンディングとなりました。短かった!

最後は出演者全員でステージにあがり、スペシャルゲストのコザック前田さんと共に歌いました。
お客様もスタッフも総立ち!小さな子どもさんまで歌っている!その光景をステージ上から見て思わず感涙。会場全体がひとつになっていました。そこにいたみんなが青春の1ページを心に焼きつけました。
音楽って、ロックって、本当にすごい!

 

 

 

いくつになっても夢は叶えられる

記念撮影 ©bozzo

イベント初心者の私がここまでできたのは、それぞれのアーティストが必ずや最高なステージをしてくれる、という確信があったからだと思います。実際は想像以上に熱いステージを魅せてくれました。客席に未来ある子どもや若者たちがいてくれたことで、大人たちがより一層熱いステージをしてくれたような気がします。彼らに熱い想いを、音楽の魔法を届けたくて。出演してくれた全てのアーティストたちに感謝しています。

ご来場いただいたお客様からは「めちゃめちゃ楽しかった!」「プチロックロス!」「知らないバンドばかりだからそんなに期待しないで行ったんだけど、どのバンドもすごい良かった!」「最後、泣きそうだった!」「来年、またやらないんですか!?」などなど嬉しいお声をたくさんいただきました。先の事はまだわかりませんが、ひとまずはやりきった!という充実感でいっぱいです。

そして、スタッフたちに心から感謝しています。それぞれの持ち場で、主体的にポジティブに、愛と誇りを持って動いてくれました。たっくさん助けてもらいました。私は終始やること盛りだくさんでバッタバタでしたけれど、完全にみんなのことを信頼して動き回ることができました。神戸から来てくださったアーティスト、ミナトマチヨネダさんが「愛でいっぱいのフェスだ」とMCで言ってくれたのがとても嬉しかったです。初めてイベントを企画してみて改めて、ひとりでできることなんてたかが知れてる、みんなで協力しあって大きなことができるんだな、と頭ではなく体で覚えました。このフェスがうまくいったのは、みんなで一緒に創ったフェスだからだと思います。

地域の皆様にも本当に感謝しています。ずっと見守ってくださった方や、困っている時に助けてくださった方、応援してくださった方がたくさんいらっしゃいます。みなさん本当に、ありがとうございました!
困ってるときは「困ってます!」と声をあげたら、助けてくれる人が必ず現れるのだと知りました。

豊劇満杯のフェス、まさかの夢が叶いました。
人生のバイオリズムは人それぞれだと思います。どう頑張ってもうまくいかない時も長くありました。
もしも何か思い描いている夢があるなら、そのチャンスが訪れた時を逃さずに、ただひたむきに、全エネルギーを使って頑張ってみてください。そうしたら想像もしなかった光景を見ることができるかもしれません。

次号では、フェスのために創った豊岡ソング、『今ココTOYOOKA』をご紹介します。

この記事を書いた人

傳川一美

豊岡市地域おこし協力隊
協力隊としての任務:豊岡の魅力発信
FMジャングル(76.4MHz)パーソナリティー
『WAKE UP JUNGLE』毎週月・火曜日担当 7:00~10:00
2022年11月 神奈川県川崎市から豊岡へ移住
夫&猫一匹と暮らしています

この記事を読んだ人にオススメ!

ホーム お知らせ 豊劇でフジロックならぬプチロック!?vol.1