MENU

春は「ありがとう」の季節!THANKSいちご祭

3月の土曜日、豊岡市役所前の市民交流センター「稽古堂」で、あるイベントが行われました。その名は「THANKSいちご祭(フェス)」。豊岡市に住む高校生・中学生・小学生が、自分たちだけで企画・運営したイベントです。

春は出会いと別れの季節。お世話になった人に、大切な友や家族に、感謝の心を豊岡いちごとともに届けたい―――そんな思いからこのイベントを企画したのは、地域活性化団体「Q’s」の柴田絢音さんでした。この春高校を卒業した柴田さんがこのような活動を始めた原点は、2020年夏に小中高生らが企画したイベント「あわフェス」にスタッフとして参加したことでした。

柴田絢音さん

「あの時は中学2年生でしたが、『Q’s』のメンバーの一人としていろんな企画を提案して、とにかく私たち自身が楽しかったですね。それで翌年以降、自分が『Q’s』の中心となって毎年「あわフェス」を企画してきました。回を重ねるうちに、その年ごとのテーマ性を持たせようといったことも考えるようになりましたし、やりたいことがどんどん増えてくると必要なお金も増えてくるので、豊岡市内のお店や企業を回って協賛をお願いするようになりました。そうやっていろんな大人の人とつながりができ、いろいろな考え方に触れることができたのは、自分にとって大きな財産になったと思っています。」

2020年の「あわフェス」スタッフ(前列右から3番目が柴田さん)

そんなお世話になった人たちへの感謝の思いを込めたこの「いちごフェス」。現在「Q’s」の中心メンバーは5人ですが、それぞれが知り合いに声をかけて、小中高生およそ30人のスタッフが集まりました。青空の下で、たくさんの人に「ありがとう」を伝えたい、そんな思いで1か月前から毎日天気予報を気にしていたという柴田さんでしたが…

残念ながら当日は朝から雨模様。当初予定していた市役所前広場から、急きょ稽古堂の屋内での開催となりましたが、雨天に備えて室内での会場の配置もちゃんと考えていました。スタッフ総動員でお客さんを誘導します。

そして「いちごフェス」開幕。すると開場直後から親子連れや中高生を中心にたくさんの人が会場を訪れ、大盛況となりました。

この日のメインイベントは「いちご食べ比べ」。実はいちご農家も多い豊岡市ですが、品種はもちろん生産者によっても味が全然違うので、そこを感じてほしいという柴田さんのこだわりのイベントです。その思いが伝わったのか、行列が絶えることなく、用意したいちごはあっという間に売り切れてしまいました。柴田さんが農家さんに電話すると「じゃあ今から畑に行って、摘んで持って行くよ」と答えてくれたとか。そうやって大量に追加したいちごも、イベントが終了するころにはすべて売り切れていました。

3階にはイートインスペースも設けられました。地元のお店のスイーツに加え、イタリアンのお店に特別に作ってもらったいちごピザや、春の食材いっぱいのランチボックスなど、豪華な食事が並びます。こちらもお昼前後には大変な人出で、すぐに完売御礼となっていました。

さらに、つきたてのお餅で作ったいちご大福を配ったり、全力で「ありがとう」を叫んだり、豪華賞品が当たる抽選会があったりと、盛り沢山のイベントでした。

ただ、夏休み期間に開催された「あわフェス」と違って、前例のない時期の開催だったことでいろいろな苦労があったといいます。

「私自身は受験が年内に終わっていたので12月くらいから準備をしようと思っていたのですが、『Q’s』のほかのメンバーの都合もあって実質的に動き出したのは1月後半くらいからでした。そこからいろいろ考えて、内容が固まったのは3週間くらい前…これまでで一番、準備期間が短かったです。」

イベント中も指示や連絡で大忙しの柴田さん

短い準備期間でしたが、会場で流す音楽もすべて自分たちで決め、場内の装飾や案内表示もすべて手作りです。入口を飾るいちごのモニュメントを作ったスタッフは、その横で写真を撮っているお客さんを見て涙が出そうになったと話していました。

「イベントを何度も手掛けて、思っていたより自分たちにもできることがいっぱいあると感じました。もちろんうまくいかないこともたくさんあるんですけど、そんな時に、だからもうやりたくないと感じてしまうのか、それとも『ミスも経験のうち』とプラスに捉えられるかだと思います。最初は人と話すのが得意ではなかった後輩が、イベントづくりに参加したことで明るく成長していった姿を見てきたので、このワクワク感を、後輩たちにも感じてほしいなと思っています。」

イベント終盤、自らも楽しむ柴田さん

終わってみたら来場者はおよそ600人(パンフレットの配布数からの推計)。予定を大きく上回る来場者を迎え、イベント前に「『ありがとう』が飛び交う場所にしたい」と話していた柴田さんはどう感じたのでしょうか。

「まず、私たちの活動に対して協力、共催、協賛といったかたちで応援してくださった数多くのお店のみなさまに『ありがとう』をお伝えしたいです。そして、たくさんのお客さんが来て下さったことに対しても『ありがとう』ですし、お客さんからもたくさん『ありがとう』をいただきました。お客さんの数に対してスタッフ数が少なかったので心配だったんですけど、声を掛けたらみんなが助けてくれて、本当にスタッフ同士についてもお互い『ありがとう』です。全部の場面で『ありがとう』が途絶えない、そんなイベントにできたと思っています。」

自由に感謝を伝えてもらおうと設置された、感謝状を模したフォトスポット

柴田さんはこの春から大学に進学するため、豊岡を離れます。でもその思いは後輩たちにきっと伝わり引き継がれていくだろう、そう確信できるほどに、イベントを終えたスタッフたちの笑顔は達成感にあふれていました。

この記事を書いた人

田上 敦士

城崎生まれ。大学進学で上京し、大阪のテレビ局に就職して30年余り。早期退職して2020年に但馬に帰ってきました。
合同会社TAGネット 代表(といっても、社員は私だけです)

http://www.tag-net.work

この記事を読んだ人にオススメ!

ホーム 暮らし 春は「ありがとう」の季節!THANKSいちご祭