カナダの学生さんたちとお魚料理教室
魚屋とアート
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城崎国際アートセンター。
国内のみならず世界各国から名だたるアーティストの方々が
作品づくりのためにやってきて滞在されます。
温泉街が日常の私たちにとって、ここはウチから5分で非日常の世界へと
連れていってくれる特別な場所。
そんなアートセンターへの思いは、写真屋で市民ライターの真紀ちゃんが以前
熱く語っていましたのでまずはこちらを!
→ https://tonderu-local.com/life/1378.html
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温泉街の魚屋と城崎国際アートセンターに何の関係が?
と思われるかもしれませんが、アートセンターの館長の計らいのおかげで
いろいろと関わらせていただいています。
例えば海外から来られたアーティストの方々が打ち上げのパーティーをされる時。
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こんな舟盛りをご注文いただいたり。
日本人の私たちにとっては見慣れた光景ですが、
本来“人”が乗るべく船に、“魚”が。しかも切り身の刺身で!
こんな変なお皿(船)、海外の皆さんの目にはどう映っているのでしょうか!?
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滞在中のアーティストさんが、夕飯の魚を買いに来られることもあります。
そしてカレイの干物が焼けるのを待つ間にサラサラサラっと絵を描いてくださったり。
(この瞬間、魚屋が一気にアートな空間に)
城崎ならではの魚屋の一コマ。
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俳優の森山未來さんが滞在されていた時は、
但馬の美味しい魚を召し上がっていただけるよう
帯同されたフードコーディネーターの方と連絡を取りあって
旬のお魚を滞在中毎日ご用意させていただいたりもしました。
カナダからビクトリア大学のみなさんがやってきた!
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そして今回はカナダから、ビクトリア大学のみなさんがアートセンターにやってきました。
城崎温泉に滞在し豊岡市民とふれあいながら、国際文化交流を図るプログラムです。
昨年に引き続き2度目の実施。
そのプログラムの一環で今年も学生さんたちと魚料理教室をさせていただくことになりました。
手前の女性は引率で来られたビクトリア大学の野呂先生。
とても穏やかな物腰でお話される素敵な方で、太平洋アジア学科の先生です。
ご主人はチェコの方で、息子さんと一緒にカナダで生活されています。
カナダ暮らしが長い先生いわく、
カナダでは新鮮な魚が手に入りにくく、魚の料理も日本と違い、
天ぷらなどの限られたメニューしかないそうです。
そういえば。
日本では魚料理といえば、煮る・焼く・炙る・蒸す・揚げる・干す
酢じめ・昆布じめ・味噌漬け……
例を挙げれば切りがありませんが、日常的にいろいろな調理法で食べています。
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という訳で。
先生に久しぶりに日本の魚を堪能していただき、
学生のみなさんにも日本の魚食文化を知ってもらうため、
今回の料理教室は但馬の魚をいろいろな調理法で召し上がっていただくことにしました。
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まずは但馬の漁業について簡単に講座を行いました。
魚屋に嫁ぎ、諦めていた英語が役に立つ嬉しいひととき。
漁港や漁法・旬の魚の食べ方など、皆さん真剣に聞いてくれました。
(“飛んでるローカル豊岡”のこともちゃっかりPR。)
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次に塩をして干しただけのスローフード“カレイの一夜干し”を
試食してもらいました。
干物は城崎温泉の人気のお土産のひとつです。
切り方次第で骨は簡単にはずれることも伝授。
アジのなめろうを作ってみました!
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お話の後は、主人とウチのお店の鮮魚部・尾田クン指導のもと、
みんなにアジをさばいてもらい、“なめろう”作りにチャレンジです。
お皿をなめたいほど美味しいから……が“なめろう”の名前の由来なんだとか。
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3枚におろして骨を抜き、皮をひいてチョップチョップチョップ。
魚をおろすのは初めて…という方が多かったですが、皆さんなかなかお上手でした。
最後に葱や生姜・お味噌などを加えてなめろうの完成!
残ったアジで、酢じめも作りました。
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夕食のメニューは手巻きです。
但馬の魚介を使用したいろいろな調理法の具材で召し上がっていただきました。
もちろん先ほどのできたてのなめろうや酢じめも手巻きで。
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最初はみんな慣れない手つきで巻き巻きしていましたが、
気づけばいつの間にか手巻きではなく“丼風”に……笑
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普段食べ慣れていない料理には少し手が出しにくいようでしたが、
おそらく初めて食べたであろうアジのなめろうはなかなかの人気でした。
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カメラを向けると男子が変顔したくなるのは世界共通のようです。
日本に興味を持つようになったきっかけは?
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10日間の研修で、出石の城下町巡りにコウノトリの郷公園や温泉寺の見学、
また旅館での就業体験やホームステイなど、滞在中にいろいろな経験をし
地域の方々とふれ合ってきた学生の皆さん。
せっかくなので日本に興味を持つきっかけとなった出来事や
城崎に来て不便に思った所、不満に思ったことなどを聞いてみました。
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こちらはマカオ出身のQinyi(クイニー)。
妖怪や幽霊が大好きで、日本に興味を持ち始めたという彼女。
妖怪の話になると、本当に楽しそう。
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そんな彼女には城崎温泉から車で1時間半ほどの所にある
おすすめの妖怪スポット(福崎町)を紹介しておきました。
彼女が不便に思ったことは、
・温泉に行くとき、バスタオルを持参しないといけなかったこと。
・温泉のシャワーとシャワーの間に仕切りがなかったこと。
でした。
確かに温泉に初めて入る外国の方にとっては
裸になるだけでもかなりのハードル。
それを乗り越えて入ったところで、シャワーの間に仕切りなし。
地元民にとってはお隣さんとのコミュニケーションの場でも
あるのですが、彼女にとっては少し抵抗があったようです。
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こちらは今回最年少19歳のKassidy(キャシディ)。
豊岡に来て嫌だな……と思ったこと。
それはすき焼きの時に“生たまご”が出てきたこと!だそうです。
これはもう文化の違いで仕方ないですね。
豊岡市の南側、京都府との県境にある但東町の但熊(たんくま)のたまごかけごはん。
美味しいんだけどなー。
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ピンクのシャツはJorey(ジョリー)。右隣の女性は豊岡市職員のNoro(ノロ)。
3人で日本談義に花が咲きました。
Joreyは伯母さんが日本人男性と結婚し、ハーフのいとこがいることから
小さい頃よりなんとなく日本に興味を持っていたそうです。
そしていろいろな日本人と触れ合ううちに、その細やかな気遣いや
おもてなしの心が大変素晴らしいと感じ、大阪で1年間暮らしたこともあるそうです。
(日本人の友達は家に遊びに来ると、帰り際に洗い物など綺麗に
部屋を片づけてから帰ってくれることにもとても驚いたんだとか。)
そんなJoreyが日本で嫌だなと感じたことは
“部屋の壁がとっても薄いこと!”
……だそうです。
Noroはフランスから来ている豊岡市職員。
日本語が驚くほど堪能。お父様はお医者様。
フランス語はもちろんマダガスカル語も話せるトライリンガル。
フランスで育った彼女が日本に興味を持つきっかけとなったのは12歳の時。
友達からこれ聞いてみて……と渡された浜崎あゆみの曲が
その後の彼女の人生を変えるきっかけとなったそうです。
人生、どこにどんなきっかけが待っているか分かりません。
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Joreyが話しているのは城崎国際アートセンターの近くにある
“温泉寺”の住職小川祐章さん。
知識が豊富でいろいろな引き出しを持っておられる
城崎の“飛んでる住職”の話は日本人の私たちが聞いていても飽きません。
日本に興味を持つ外国の方にとってはなおさらのことでしょう。
Joreyは温泉寺で見た仏像の奥深さにとても感銘を受けたそうです。
城崎温泉の知られざる秘密も伝授してもらっていました。
真ん中の男性はAlex(アレックス)。
彼は唯一、昨年も参加していた学生さん。
帰国後にウチの店の中国語メニューを作成してくれたりもしました。
昨年の滞在で城崎のことが好きになり、今年もアシスタントとして来日。
こんな風に城崎や豊岡のことを好きになり、縁が繋がって
またやってきてくれる学生さんが増えてくれると嬉しいです。
そんな彼が気になった城崎のことは……。
・街には英語のメニューは増えつつあるが、中国語のメニューはまだまだ少ない。
・たまに見かけても、パソコン翻訳などを使用した中国語で文章がおかしいお店がある。
・温泉街を散策中に古い建築や美しい自然を楽しみたかったけれど、
お店の看板や商品の宣伝がたくさんあるので、心に残ったのは美味しそうな食べ物や
お土産のことだった。
……でした。
なるほど。中国語が分かる上、2年目でいろいろな所を訪れた経験のある彼ならではのご意見。
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こちらはなぜかモデル風ポーズのRaffi(ラフィー)。
(……と、調子にのる私)
彼は日本の文化に興味があり、以前盛岡大学に留学していたこともあるそうです。
城崎について不満に思ったことはなかったけれど、
街には綺麗な浴衣を着て歩くカップルや家族、友達連れがあふれているので、
一人で旅をするのにはちょっと寂しいかな……とのこと。
一人旅で城崎に来てもどこかで新しい友達と出会えるような
そんな気軽に行ける場所があればいいのに……
とのことでした。
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全ての課程を終え、豊岡市副市長から観光大使任命書を授与されたみなさん。
あえて不満に思ったことを聞いてみましたが、最後に全体的な滞在の感想を聞くと、
「城崎の人々はあたたかく、また豊かな自然に囲まれた美しい街で
温泉にも毎日入れてもう最高!」と口をそろえて話してくれました。
みんなが日本に興味を持つようになったきっかけは三者三様。
この小さな城崎の温泉街や、ローカルな豊岡の街にも
実は世界中のどこかの誰かの心を魅了する“何か”が
まだまだ潜んでいるのではないだろうか……と
カナダからやって来た若い彼らと話をしていて感じました。
今回の滞在で見たこと感じたこと体験したことを世界中のどこかの誰かに
そっと伝えてもらえると嬉しいです。