カミノさんの1日~仕事と家庭と理想の暮らし~

こんにちは。
豊岡市で家具と彫刻の工房2B worksをやっている美藤 圭です。

詳しくは、市民ライターの岡村直昭さんに書いてもらったこちらの記事をご覧ください。
2度目の豊岡へUターン。彫刻に生きる若手作家「2B Works」美藤圭さんの移住の仕方

 

さてさて、今回の主役はこの人。

神野尚幸さんです!

「僕、穏やかに暮らしたいんやん」が口癖の神野さん。

豊岡市でヘアサロン「CRAFTSMAN’S.F(クラフトマンズファクトリー)」と、コーヒースタンド「カミノ珈琲」の経営をされています。

お子さんが3人いて秋からの新しいお店も計画中というから、なかなか穏やかにはいかないのでは……、なんて思ったりしますが、
“やりたい事が沢山あるけど、穏やかにも暮らしたい”
これは僕にとってすごく共感できるテーマであり、そういう人がどんな日々を過ごしているのかとても興味がありました。

ということで、今日はそんな神野さんの、とある1日に密着します。

JR豊岡駅前から東へのびる、100以上の商店が軒を連ねる大開通り。
その1本南の「生田通り」にある青いお店が神野さんのお店兼自宅。

今朝は長男の小学校の登校班の見守り当番。
学校まで無事に見送ったら家に帰ってゴミを出しに行って、下の子ども2人を保育園まで送って行きます。

2人を乗せて走るので電動自転車が欠かせません。
ヘルメットを被せていざ出発!

通勤通学の人を避けて走る。
途中、近道でお寺の境内を通らせてもらうので、本堂の前を通過する時に次男が手を合わせて「のんのんのん」って挨拶します。

かわいい……!

仕事のこと

お店に帰ってくるとスタッフさんと開店準備。
従業員はヘアサロンスタッフが1人とコーヒースタンドのスタッフが1人。

9時のオープンと同時に予約のお客さんが来店されました。

昨年の5月から、神野さんのヘアサロンでは日曜日が定休日になりました。

お店を始めた時から、日曜日は参観日など子どもの行事に予定を合わせやすいように休もうと言いつつも、当初は不安もあって休みにすることができなかったようです。
しかし、3人目の子どもが生まれて自由な時間がなくなってきたため、休み方や営業時間を少しずつ変えていったとのこと。

「世の中的にも働き方改革を推進しているし、やったらやっただけ利益も延びるけど、生活のことを考えるとどこで線を引くのが正解かって結構難しい。」
と神野さん。

しかし、一般的にはヘアサロンにとって日曜日はかき入れ時であり、お客さんにとっても比較的来やすい日です。

「最初、日曜日休むってことに全然慣れなくて、不安で不安で……ヘアサロンなのに日曜日に閉めていることがどう見られているんだろう……とか、当初は日曜日に市内を歩くのも家で子どもと一緒にいることにも慣れなくて、ソワソワして休んだ気にならないし。本当に休んでて大丈夫なんだろうか、って。
仕事をするって神経を使うけど、髪を切ることも話すことも楽しいからずとやっていられる。そう考えると休むって案外大変なやなぁって思ったよ。」

神野さんは続けます。

「しばらくして慣れてきた頃、日曜日のお店に着信が無くなった。その代わり月曜日は電話が鳴る。徐々にそういうお店だってお客さんに理解してもらえたことが、すごいなって思ったよ。」

現在のヘアサロンの営業時間は、9時~18時最終予約受付。毎週日曜日と第1・3月曜日が定休日です。
最近は、金曜日だけ変則で13時~22時最終予約受付まで営業されています。

「夜しか来れない人もいるし、トータルの時間としては日中開店するのと同じだから、僕らの気持ちも楽だよ」と。

お昼

お昼をとっくに過ぎたのに神野さんはご飯を食べない。

「日中は予約でキツキツだからお昼ご飯もあんまり食べれへんなぁ、抜ける時間も無いし、有り難いことなんだけどね。あと眠くなるんだよね、お昼食べると(笑)。」

9時~19時までの営業時間中、お店から出ることはほとんどない神野さん。ほんの少しの時間を大切にされています。

「お客さんがいない時は店の前でスケボーしたりしてるで。5分とか空いた時間。スタッフに『え、いまやるん!?』って言われるけど。
1日がほぼ家とお店の中で完結しちゃうから、朝子どもを保育園に送りに行ったり、外に出られるちょっとした時間がめっちゃ大切なんやん。」

仕事と生活

「日中は仕事に専念しながらもいろんなことが頭を過る。スケボーやってる若い子たちのこと、新しいお店を始めること、コーヒーの焙煎を始めていこうという話もしているし、あと飛んでるローカル豊岡のこともね。」

最近はよく理想の暮らしについて考えていると教えてくれた。

「スウェーデンの暮らし方とか素敵だな~と思ってる。
時間って大事だけど、自分は上手く時間を使えない人だから、効率的に働いてちゃんと利益も出して、いかにして家族との時間を増やそうかと考えてる。他にも、スタッフ皆で働いていてちょっとした息抜きの時間が無いと、これからのこととか考える余裕がないとだめだな、って。」

そこにやってきた神野さんの奥さんの利江さんが、「それ3年前から言ってるやん(笑)」と横やりを入れる。

「そう、ずっと考えてるんやん。今はいろんなことに必死で、どこまで取り入れられるか分からないけど、穏やかに暮らしたい。」

カミノ夫婦

神野さんは奥さんの利江さんのことを「リンちゃん」と呼び、利江さんからは「ナオくん」と呼ばれている。
昼間から友達同士のような熱い話もするし、日常のたわいの無い話もするこの2人を、いいなぁ……と僕はしみじみ思っている。

日々のサロン業務をしながら、家族の時間を過ごしながら、2人の頭の中ではいろんな考えが多重に思考されている。

「リンちゃんが隣に居てくれるからこそ僕は活きると思うんやん。だからリンちゃんがナンバーワン、僕がナンバーツー(笑)。」

「やめてぇや、そのボスみたいな扱い……」

この、自分だけの人生じゃない、2人で一つな感じが、見ていてすごくこそばゆくていい感じ。

利江さんが不意に、
「子育てに一番適した時期と仕事で一番頑張れる時期が同時に来るのつらいよね。重なるから、全てが。仕事や子育てを全力でやっても、それに耐えられるエネルギーを今はギリギリ持ててる。けどギリギリで闘ってる感じで、何が一番かを確認しながら生活してないとすっごいブレる。今は子どもたちを第一にとは思っているけど、葛藤だよ。」
とこぼす。

「休みの日とか疲れてクタクタじゃないですか?」と僕が聞くと、

神野さんが、
「それがなぁ…どんだけ疲れてても、休みの日はちゃんと朝起きて子どもと一緒におりたいんやん。ほんま、めっちゃ可愛いんやん。」

2人がほころんだ顔を見て、そういえばこのあいだ、水族館の年間パスを買ったという記事を書いてたなぁと思い出した。

夕方

19時。7月ともなるとまだまだ外は明るい。

店じまいをしているとスケボーを持った男の子が数人立寄ってコーヒーを買っていってくれた。

「あの子ら、このあいだうちの店の前でスケボーしてて、技が成功するまでずっと動画撮ってるんやん。」
そう言いながら、神野さんがスマホでSNSの動画を見せてくれた。

「ええのん撮れて、ここでハイタッチしとったからな(笑)。動画とか写真をSNSで地道に発信してて皆めっちゃ真剣なんやん。豊岡で滑れるところってほんまに少ないから僕もめっちゃ応援したいけど、こういうことを大人にもいいように見てもらうにはどうすればいいかって難しいんよなぁ……」

帰宅

お店の片付けも終わりスタッフが帰ると、店の奥の自宅へ帰って、まず利江さんの第一声をうかがうそうだ。
「おかえり~」の声で疲れ具合が分かるらしいんだけど、今日は元気そう。

玄関をあがるとご飯のいい匂いが。
「僕は胃袋を掴まれた」と自慢するくらい料理好きの利江さん。

もちろん、神野さんも協力して家事を一緒にこなしている。

「たまに神経が立ってるときがあって、そういうときに家事に手を出すと怒られるんだけど、毎日3人の子どもの相手をしながら家事をこなすって見ててほんとに大変だと思うから、やれることはなるべくやるようにしてる。」

長男はだいぶ自分のことは自分でできるようになってきたけど、子どもが3人もいるとなかなか部屋も片付かないらしい。

「このあいだお客さんに、家の中が片付かないっていうか、見せられないくらいぐちゃぐちゃで恥ずかしいって言うと、『ぐちゃぐちゃな家がいいかきれない家がいいかどっちがいいかって、本当に子どもにのびのびと遊ばせてあげたら部屋なんかぐちゃぐちゃになって当たり前だよ。』って言われてちょっと気持ちが楽になったよ。」

「神野さんって何時に寝てるんですか?」

「だいたい21時半に子どもを寝かして、洗い物が終わったら23時半くらいかな。そこからコーヒータイム。」

「コーヒータイム?」

「何となく同棲時代からほぼ毎日続いてるんだけど、夫婦で家事がだいたい終わったらとりあえず一息入れるんやん。仕事のこととか子どものこと、日々の出来事をゆっくり話す時間。昔から趣味でコーヒーをよく淹れてたから、そんなに好きなら自分でお店で出したらいいやんとか、リンちゃんがお菓子作るのが好きだからそれもお店で出してみようよ、とか。」

2人が夜な夜な盛り上がって話したことは、お店の中で少しずつ形になっている。
今年の秋にはコーヒー部門を移転させて、利江さんのカフェができる予定だ。

1人の時間

「神野さんって1人の時間ってあるんですか?」

「あるよ。時々1人でぼーっとしたくなることもある。1人になりたい訳じゃないけど、そういう時間が大事なんやん。
技術とかの問題だけじゃなくて、サロンワークっていろんなことを吸収して補塡・補充してから次に向かわないとイメージの泉が枯れていく様な気がする(笑)。
美味しいコーヒーを淹れて、好きな雑誌と良い音楽とシチュエーションを整えてぼーっとしたり映画見たりとか。その1~2時間が取れるかどうかで次の日のエネルギーが全然違う。」

1日を終えて

「穏やかに暮らしたい。」
今日はこの言葉を何度も聞きました。

やりたいことがいろいろあって、
でも家族との時間も大切で、
時々は自分の時間も欲しくて、
おそらくどこの家庭も抱えている矛盾をいい形で暮らしに落とし込みたくて頭のどっかで考えて日々を過ごしている神野さん。

穏やかってのはゆっくり過ごすことだけじゃないし、働き方に正解は無い。
だからこそ常に考える。

利江さんが始めるカフェは今年の9月頃オープンの予定だそう。

これからもカミノ夫婦の活躍を楽しみにしています!

この記事を書いた人

美藤 圭

クリエイター(自営)
高校卒業後、「ものづくりで飯が食いたい」と思い、飛騨高山へ。
設計事務所、家具工房、家具メーカーを経て、2015年地元豊岡にて家具と彫刻の工房「2B works 」を開業。

趣味はボーッとする事と寝ること。

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