なぜ豊岡での暮らしは、大阪よりカラスが気にならないのか? 音が変わると、暮らしの質が変わる
こんにちは、大阪から豊岡に移住して4年目のコザキです。
春になり、窓の外から野鳥のさえずりが聞こえてくるようになりました。
同じ鳥のさえずりでも、大阪にいた頃はカラスの騒がしい声が日常化していて困っていましたが、今はとても穏やかな日々を過ごしています。
今回は、大阪と豊岡のカラス被害の違いや、野鳥のさえずりが心身にもたらす影響について書いていきたいと思います。
大阪在住時代のカラスの思い出
私が住んでいた大阪の街は、燃えるごみの日の朝になるとカラスの鳴き声で騒がしくなります。
外に目をやると、カラスの群れが電線や木の上に待機して民家からゴミ袋が出るのを今か今かと待ち構えています。
道端のゴミ回収地点には防鳥ネットがあるのですが、ゴミが多い日などはネットからはみ出すゴミ袋もあり、カラスに狙われて中の生ゴミが散乱することも。
日常の生活道路に散らかる生ゴミ。見た目も臭いもとてもげんなりとするものでした。
私たち家族が当時住んでいたマンションの近くには松並木があり、そこにはカラスの大集団が巣を作っていました。
松並木から聞こえてくるカラスの鳴き声は「カー、カー」という牧歌的な声だけではなく、「ギャー! ギャー!」と争い合うような声も。
鳴き声がヒートアップしていくと、まるでスタジアムで野球選手がヒットを打ったときの観客席のように騒がしくなるので、在宅の仕事に集中できないことがたびたびありました。
また、3月〜7月頃の子育て期のカラスは攻撃的になります。
進行方向の電柱にカラスがいるのを見掛けたら「無音で急降下して襲ってくるかもしれない」と用心していました。
これらの他に、「カラスが巣作りのためにベランダのハンガーや洗濯ばさみを持っていく」「フン害で道路や車が汚される」など、街のカラス被害はさまざま。
当時はそれが当たり前のものだと思っていました。
▲セグロセキレイ
それが、豊岡に移住してからというもの家の回りでカラスを見掛けることがほとんど無くなりました。
豊岡駅近くの市街地エリアでは数羽見掛けるものの、少し離れた住宅地ではまれに遭遇するレベル。
カラスのかわりに野鳥をよく見かけるようになりました。
心地いいさえずりを聞かせてくれ、癒しのひとときとなっています。
なぜ豊岡は都会に比べてカラスが少ないのでしょうか。
豊岡市役所 林務水産課の島田様、有害鳥獣主任対策員の岡居様にお話を伺ってきました。
豊岡でカラスをあまり見掛けない理由
お二人に豊岡のカラスの生息数について伺ったところ「確かに都会に比べて数が少ない」とのことでした。
都会で生ゴミを荒らしている、ハシブトガラスとハシボソガラス。これらを豊岡であまり見かけない主な原因は、大きく分けて2つあるそうです。
▲自然豊かなのでライバルがたくさん
ひとつ目は「競合する生き物が多い」こと。
自然豊かな豊岡市には、中国の農村部から越冬のためにコクマルガラスとミヤマガラスが渡ってきます。
また、竹野・城崎などの海が近いエリアにはトビ、農村部にキジバト、日高にはスズメなどが生息します。
このため縄張り争いやエサの取り合いが発生し、ハシブトガラスとハシボソガラスにとっては生活が厳しい環境となっています。
※コクマルガラスとミヤマガラスは生ゴミをあまり狙わないそうです。
▲鉄壁防御のゴミステーション
そしてもうひとつは、「ゴミステーション(ゴミ収集庫)がある」こと。
豊岡でよく見掛ける、金網で囲われた鍵付きのゴミステーション。猿や鹿やイノシシや熊などが生ゴミを荒らすのを防ぎます。
カラスはエサが少なくなる冬の時期、生ゴミを重要な食料としています。豊岡はこのゴミステーションが普及しているので荒らすことができる生ゴミの総量が少なく、カラスにとってさらに厳しい環境となっています。
▲可燃ゴミの日なのにカラスがいない
この2点が「豊岡は大阪に比べてカラスが少ない」と思える大きな要因とのことです。
ただ、カラスの生息数が少ないとはいえ実際にカラス被害は発生しています。
カラス被害を防ぐために
・ゴミ収集当日の朝にゴミを出す
・オモリ付きのネットで生ゴミをしっかり覆う
などが対策として必要になりますが、カラスは賢いので隙をついてゴミを荒らしにきます。
カラス被害が頻発してお困りの場合は、ぜひ窓口にご相談くださいとのことでした。
気軽に相談できるのはとても心強いです。
■カラス被害の相談窓口(豊岡市役所 林務水産課 林務水産係)
0796-21-9069
▲秘密兵器のレーザーポインター
ちなみに、岡居さんによるとカラスにはレーザーポインターが有効だそうです。
直接カラスに照射するのではなく、カラスが赤い点に気付くように、少しずつ赤い点をカラスに近づけるように動かすと効果的なんだとか。
石を投げるなどで直接カラスを追い払うと顔を覚えられて仕返しされる恐れがありますが、レーザーポインターなら人間がやったと気付かれにくいそうです。
生ゴミを荒らすカラスを追い払いたい人は、一度試してみてはいかがでしょうか。
※会議のプレゼンテーションなどで使う、一般的な「クラス2」の性能で十分とのこと
※人や航空機・車両などに照射すると視力低下や事故の可能性があるので取扱いには十分お気を付けください
鳥のさえずりがもたらす癒し効果について
▲ヤマガラ
カラスの鳴き声のかわりに耳にする機会が増えた、野鳥のさえずり。
この野鳥の声は心身に良い影響をもたらすという研究結果が出ているそうです。
アメリカの大学が実施した複数の研究から、鳥のさえずりがメンタルヘルスに良い影響を与えることが示されています。
たとえば、ある調査では、鳥の声を聞いたあとには不安感や憂うつ感が軽減されるという結果が出ました。また、交通の騒音など都会的な音とは対照的に、鳥の声はリラックスや回復の感覚を高めることがわかっています。
(中略)
鳥の声が響く環境というのは、言い換えれば「危険がない、安全な状態」であることを意味します。鳥たちは捕食者が近づいたときには一斉に鳴き止む習性があるため、その逆──つまりさえずりが聞こえているとき──は、私たちに安心感をもたらすということのようです。”
※ 元となっている論文は「Proverbio, A. M., et al. (2022).Birdsongs alleviate anxiety and paranoia in healthy participants」と思われます。
都会暮らしなら郊外に出かけないと耳にするのが難しい、天然のヒーリングミュージック。
身近な環境で聞けるのはとてもありがたいです。
音が変わると、暮らしが変わる
▲円山川下流域
大阪にいたころの印象的な環境音は、ゴミの日のカラスの声に、抜け道を走ってくる車やバイクの音、そしてサタデーナイトの暴走族集団の爆音パレード。
野鳥の声なんて「どこか遠くにあるもの」でした。
豊岡に移住して静かで落ち着いた居住環境になったことで、不思議と心に余裕が生まれました。創作活動の集中力が高まり、作業に没頭できています。
移住というと「仕事」や「住まい」「便利さ」など、どうしても条件面に目がいきがちです。でも「どんな音に囲まれて暮らすか」という視点も、日々の満足度を左右するのだなと実感しました。
もし、少しでもゆったりとした時間を求めているのなら、朝の静けさの中で鳥の声に気づくような暮らしはひとつの答えになるかもしれません。
▲イソヒヨドリ
ちなみに私の家の近くでイソヒヨドリも見ることができました。
竹野海岸などの海に近い岩場(磯)に住んでいた鳥なのですが、最近は海辺を離れて豊岡の市街地にも生息域を広げているとのこと。
「幸運を呼ぶ青い鳥」として愛されているので、鳴き声がしたら「何かいいことありそう」と気分が上向きになります。




