終わることのない、雪との闘い
寒い、冬の朝。目が覚めると、カーテンの隙間から差し込む外の光が、妙に明るい。
これはひょっとして…
あちゃー、積もってる…
こんにちは。城崎温泉で生まれ育ち、高校卒業とともに但馬を離れて去年の春、36年ぶりに豊岡へ戻ってきた、市民ライターの田上です。
去年まで勤めていた大阪の会社の同僚に上の写真を見せたところ、その反応は
「風情があって、いい写真やん!」
いやいやいや。見てるだけだったら確かに綺麗な雪景色。だけど、こっちは雪かきしないとアカンねん!こんな雪の中でも車に乗って出かけないとアカンねん!
思わずそう毒づいてしまった私の、36年ぶり!但馬の冬暮らしをご報告します。
とっても大事な冬支度
ここ2年はあまり雪が降らなかった但馬ですが、どうやら今年は降るらしいと聞き、私は長靴を持っていないことに気づきました。さっそく靴屋に買いに行って、勧められるままに買ったのがこの長靴。
いやこれ、なんぼなんでも長すぎるでしょ。40センチですよ。膝までありますやん…
と、半信半疑で買ったのですが、いざ雪が降ってみると長すぎるということは全然ありませんでした。
そりゃそうですよね。朝起きたらいきなり30センチくらい積もってるところに踏み出していくわけですから、このくらいの長さは必要なのです。靴屋のおじさん、ありがとう。
そして、雪が降ったらまずしないといけないのが雪かき。これをせずには、家から出られません。
雪かきをするのに必要なのは、もちろんスコップ。私の住んでいる家にはもともとこんなスコップがあったので、これを使って雪かきをしていますが…
最近はポリカーボネートという素材を使った、こんなスコップが主流なんだとか。
スコップそのものの軽さが全然違います。これならだいぶ雪かきも楽ですね。
ちなみにこれはクルマに積んでおくための小型スコップで、スコップもいろんな種類が売られているんです。
避けられない重労働「雪かき」
ただ、スコップが多少軽くなったからと言って、雪かきが大変なことには変わりはありません。雪かきの問題は、スコップの重さ以上に雪の重さなのです。但馬の平野部に降る雪は、パウダースノーとは程遠い、水をたっぷり含んだ雪になることが多く、これが重い!雪かきはホントに重労働です。しかも、当然外は厳寒なので完全装備で雪かきに臨むため、すぐに汗だらだら。そのままいると風邪をひくので、すぐに着替えることになります。
さらに大雪になるとしないといけない作業が「屋根の雪下ろし」。これは大変なだけでなく、かなり危険です。
私が子どものころに比べると雪の量は減っているため、山間部以外では屋根の雪下ろしをしないといけないような量はなかなか降らないと思うのですが、かつてはうっかり足を滑らせて転落して命を落とすという事故が毎年何件も起きていました。「落ちても下が雪だからクッションになるんじゃないの?」というなかれ。雪の中にずっぽり埋まってしまうと、身動きが取れずに窒息してしまうのです。
私自身、屋根の雪下ろしをする自信はないので、もしも必要な事態になったら専門の方にお願いしないといけないなと思っています。
雪道のクルマは大変、そして危険…
最近は道路の除雪態勢が充実していて、私の住む家の前の小さい道でも朝一番に除雪車が来てくれます。
とてもありがたいのですが、除雪車が来ればすぐに車を出せると思ったら大間違い。
道路を除雪すると、その雪は道の両側に寄せられます。ということは、車庫の前には積雪量をはるかにしのぐ雪が溜まっているわけで、これを何とかしないと、車を出し入れすることはできないのです。
タイヤはもちろんスタッドレスが必須です。スタッドレスでも、凍結したり坂道だったり雪が深かったりすると、ツルツル滑ります。ノーマルタイヤで走るなんて論外!自殺行為です。
こちらでは雪が降る前にみんなタイヤを交換しに行くので、早めに準備しておかないとタイヤ屋さんで何時間も待つハメになります。ちなみに、冬用タイヤに交換した際には、ノーマルタイヤをタイヤ屋さんで預かってくれるサービスもあるので、保管場所の心配はありません。
道路脇にはいたるところに融雪・凍結防止剤が置かれていて、これが道路に撒かれているのですが、これには塩化物が使われているため車のボディやタイヤのホイールを傷める原因になります。それでなくても雪道を走ると車はすぐにドロドロになるので、洗車は小まめにしないといけないのですが、こちらの冬場はすっきり晴れる日はそうないし、いつまた雪が降るかわからないので、洗車のタイミングがホントに難しいです。
果てしなき、雪との闘い
36年前、まだ子どもだった私は、雪かきはしていたものの親の手伝い程度でしたし、雪道で車を運転することなどもちろんありませんでした。この歳になってあらためて経験する、但馬の雪との格闘。この地に住む限り避けては通れない雪との闘いは、春が来るまでまだまだ続くのです…