さよなら大好きなセコ
さよなら大好きなセコ
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兵庫県南部で生まれ育った私にとって、結婚するまで正直“カニ”にはあまり興味がなく、
特別な思い入れもなく、たまに親友の家に遊びに行くとその子の家にはよく“カニ”があり、
数年に一度そこでご馳走になる…くらいの何気ない存在でした。
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ましてや“カニ”の種類など分かる訳もなく、
松葉がに・ずわいがに・紅ずわいがに…等と言われても、その違いは全く分からず
気にしたことすらありませんでした。
そんな私が移り住んだ豊岡市では…。
“カニ”が日常の何気ない風景に当たり前のように存在し、
冬の食卓を彩る代表格だったのです。
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カニはカニでも、こちらは近くの浜に生息している“すながに”。
人の手が入っていない自然の形状を維持している浜に多く生息すると言われており、
豊岡の港地域にある気比の浜には山陰の中でもより多く生息しているそうです。
同じカニでも“十カニ十色”。
それぞれに色も形も全然違います。
今回お話ししたいのは、“すながに”ではなく“せこがに”について。
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結婚前の私と同じくらい“カニ”にあまり興味がない人のために説明しますと、
一般的に良く知られている“松葉がに”とは基本的に雄のことを指しており、
松葉がにの雌は豊岡では“せこがに”と呼ばれています。
12年前、我が家に男の子と女の子の双子が生まれる!と分かった時、
本気で“松葉”と“せこ”という名前にしようかという案もあったとか…なかったとか。
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そんなせこがには資源保護のため、津居山漁港では漁期が12月の末まで!と
決められています。解禁したのは11月。たった2か月だけの貴重な再会です。
限りある資源の保護を考慮し、その漁獲には賛否ありますが、
とりあえず今回はそれはさておき。
こんな風に食べたりもします!
雄の松葉がには甲羅が約15センチあるのに比べ、
せこがにの大きさは約8センチ。
雄と雌でこんなにも大きさが違う生き物は他にもいるのでしょうか。
大きさが違うため、値段も雄に比べて約15分の1の安さ。
同じ女性としてこの点はちょっと解せないですが、
その濃厚な味わいは雄に勝るとも劣らず絶品です。
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塩茹でしたせこがにをそのままホジホジ…が王道で最高ですが、
我が家ではパスタにしたり、
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炊き込みご飯にしたり、
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あんかけ茶碗蒸しにしてみたり、
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はたまたこんな風に盛り付けてみたり…。
食べ方もいろいろで全く飽きません。
ウチのお店では数量限定の“せこがに丼”も人気でした。
皆に愛されているせこがには、市内の飲食店や城崎温泉でも
いろんな味わい方で楽しまれています。
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ここまでくると、ちょっと食べたくなったかもしれませんが…。
今期のせこがにの漁は残念ながら終了しました。
美味しそうな写真を並べておいてなんですが、
次に獲れたてが食べられるのは約10か月後です。
すみません…。
小学校の給食でも“せこがに”が!
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我が家の子どもたちが通う小学校ではせこがにが
給食に出たりもします。
それがテレビのニュースで放送されたりもします。
(そして映っていたのはウチの息子の給食!)
1年生の子どもでも器用にホジホジして美味しくいただきます。
ちなみにこの日のメニューは、カレーとオムレツとせこがに、そしてご飯と牛乳!
栄養満点です。
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津居山漁港では、せこがには大・中・小・小小・3小と
5つのサイズに分けて競られます。
甲幅のサイズで細かく分けられており、
その中でも、足が何本落ちているかや、色合いが違うもの、
また傷の度合い…等々、細かい決まりがたくさんあり、
漁師さん達によって細かく選別された後、競りが行われます。
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漁船ごとに競っていくのですが、
レディーファーストならぬ“せこファースト”。
まず雌のせこがにを競り終えてから、雄の松葉がにへと移ります。
繰り返しますが、12月末で漁期を終えたため、
今はもう競り場にせこがにが並んでいません。
さよなら大好きなセコ…。
会えない時間が愛育てるのさ…と懐かしいメロディーが頭をよぎります。
そう言えば…。
豊岡市の竹野町にある山あいの村で行われる“三原谷の川の風まつり”。
人々と自然が共生しながら暮らす、人口わずか400人の小さな村で開催される
素敵なおまつりで、以前イラストレーターの黒田征太郎さんに描いて頂いたカニの絵。
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今まで松葉がにだと思っていましたが、良く考えたらお化粧してる。
…ってことはこれ、“せこがに”だったのかも!