神鍋高原のいちご2020
こんにちは!
豊岡市日高町の神鍋高原で民宿を営む、飯田勇太郎です。
例年、5月下旬〜6月上旬の私の宿は、京阪神からの林間学校のお客様で大忙し!
今年も目が回るような日々を過ごす…はずでした。
そう、今年は新型コロナウイルスの影響で予定が白紙に。
悲しいことに全ての予約がキャンセル、または延期になってしまいました。
最も残念なのは楽しみにしてくれていた児童・生徒や先生方。
また延期後の日程で来られた際に楽しんでもらおうと割り切れたのですが…
ひとつ困ったことがおきていました。
育てていたいちごたち
私の宿を含め神鍋高原の宿の何軒かは、林間学校の児童・生徒にいちご狩り体験をしてもらうために5月、6月に収穫できるいちごを育てています。
今年は700株、およそ数百人がいちご狩りできる量です。
その全てのいちごが貰い手を失う事態に。
これはなんとかせねばと、私の宿でも少しずつ新しい取り組みをはじめました。
いろんな方のもとへ
■たじまんまに出荷
但馬の新鮮な食材が集まるファーマーズマーケットたじまんまさんへ出荷しました。
朝摘んだいちごを選別し、きれいに並べてパック詰め。
いちごの出荷そのものが初めてだったため、どのくらい手にとってもらえるか分からず、初日は少な目に出荷したところ、すぐさま売り切れたとの報告が。
その後も何度か出荷しましたがありがたいことに残ったのはたった1日だけ(しかも1パックのみ!)。
その日以外は完売御礼という嬉しい結果となりました。
■リハビリセンターに出荷
同じ日高町内に今年オープンしたリハビリセンター and Reha.さん。
こちらは地域の生産者さんから野菜などを仕入れ、施設内で期間限定の八百屋(and 808)をされています。
代表の秋山さんの「コロナ禍で満足に買い物もできない利用者様に、自由なお買い物という形のリハビリを提案し、在宅生活での不自由を解決する一助となれば」という思いに共感し、私のいちごもそのお手伝いになれば、と参加。
出荷量は少な目でしたが好評だったようで、秋山さんが利用者さんからのありがたいお言葉を、毎回嬉しそうに連絡してくださいました。
■Toyookamoveで販売
この度のコロナ禍で影響を受けている飲食店や家庭の支援を目的とし、豊岡市地域おこし協力隊と市民有志のみなさんによって実施された宅配サービスToyookamove。
※現在(2020.7.31)は宅配というサービス形態ではなく、屋外でのイベント開催を中心に活動しています。
市内の飲食店の料理を、注文した各家庭に宅配するというUber Eatsのない豊岡においては画期的な取り組みで、私の宿は飲食店側としていちごの販売をさせていただきました。
出荷した20パック全てがご家庭に届けられ、SNS等で嬉しい感想をたくさんいただくことができました。
■いちご狩りの受け入れと、氷菓の販売
今までは林間学校だけを対象としていたいちご狩り体験を、一般のお客様にも。
家族連れのお客様やいちご好きのお客様にご利用いただき、楽しんでもらいました。
また、いちごを使った氷菓を開発。
SNS等でじわじわと口コミが広まり、遠くから買いに来てくださるお客様も。
当館の定番メニューとなりそうです。
このような取り組みが少しずつ伝わり、「うちでも使いたい」という数軒のお店から連絡をいただきました。
「余ってしまうかも」と不安に思っていたいちごが、逆に足りなくなるような日も。
ちなみに、私が作っているいちごは「ベルルージュ」という品種です。
すごく甘いわけでは無いですが、甘酸っぱく、香りが高い。
高原地域の栽培に適していて、実がしっかりしているので手に触れても崩れたりしません。
今まで一般販売をしていなかったため、私が作るいちごの価値を私自身も気づかずにいました。
そして、ここまでの反響に驚きと嬉しさを感じました。
豊岡(だけでなくその近辺を含む但馬地方)は食材の宝庫。
住んでいる皆さんは、地元で採れる食材にどこか誇りを持っているように感じます。
「来年も食べたいから作って」という声もいただき、来年は林間学校用とは別に栽培を検討したいと思います。
コロナ禍で滅入っていた私にとって、「いちご」を通した新たな展開は、たくさんの励ましをいただくことになる出来事になりました。