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「TOYOOKA KABAN Artisan × design project」の豊岡見学ツアーに行ってきました!

「鞄の修理依頼は必ず受けますがほとんど儲かりませんよ。
でもこれができるから僕たちの鞄を信頼して買ってくださるんです。」

 別の工場では、

「修理部品は昔のものだから今は現存していないことが多い。
仮にお客様の部品を無くしたら工場も流通も全部止めてX線検査してでも探します。
信頼してもらっているから、豊岡鞄には日本全国、世界中から注文が来ているんです。」

そう話す社長の姿は、同じ豊岡市民として誇らしく思えました。

TOYOOKA KABAN Artisan × design project

一次選考を通過されたみなさん

豊岡市で起業して4年目に入りました、市民ライターで本屋さんの西垣です。

豊岡市で
TOYOOKA KABAN Artisan × design project」という取り組みが行われています。


「鞄」の新時代、幕開け。
国内最大級の鞄の産地で、鞄職人と一緒に、鞄を作りませんか?

 

豊岡でつくる新しい鞄のデザインを全国から募集し、なんと、優秀作品1点は商品化されるというプロジェクトです!

2019年11月に、一次選考通過者を対象に2日間の豊岡見学ツアーが開催されました。製造現場や商品を実際に見ていただき、鞄の産地豊岡を知っていただくためのものです。

私も豊岡の鞄について勉強したいと思い、市民ライターとしてツアー1日目に同行させていただきました。

記事冒頭の言葉は、見学先の鞄企業の社長の言葉です。
私が実際に会って見て聞いた、豊岡の鞄を守り続ける人たちを紹介したいと思います。

①株式会社由利

まず1か所目は由利(豊岡本社工場)さん。
豊岡で最大級の規模を誇る鞄工場で、豊岡以外に隣の京丹後市やベトナムにも生産拠点をお持ちです。

企画から製造、販売までを手掛ける鞄のメーカーさんですが、そのクオリティを維持するため工場では常に厳しい管理とチェックをしておられました。

写真は、不良品が出荷されないように社員さんがチェックをしている様子です。万が一、不良品が見つかれば、原因を追究し記録して数値化しているとのこと。

この積み重ねが信頼されるブランドになるのですね。

社員の教育にも力をいれておられ、ベトナムの工場で働いておられる現地の方も「日本で鞄のことを勉強したい」と伝えれば日本の工場でさらに高い技術を身に着けることができるそうです。社員が育つ環境を作り、社員のみなさんが活き活きと仕事をされているのが伝わってくる、そんな企業でした。

株式会社由利

豊岡市上陰164-5
http://www.yurikk.com/

②株式会社足立

もともと材料卸の企業だったこともあり、
豊岡の技術力を結集させてOEM製造(他社ブランドの製造)をしてこられました。
「ウチは100~200本の小ロット生産を得意としています。豊岡ではよくある企業のサイズですね!」と足立社長。

工場内ではいろんな年代の方々が勤務しておられたのですが、
ここで突然知り合いとバッタリ!

身近な人が鞄産業に携わっていることを知り、改めて鞄が僕たち豊岡市民にとっての地場産業だと感じました。

足立社長の話によると昔、冬の農業ができない時期の仕事と言えば鞄の内職だったそうです。

工場の様子を見ていると昔から変わらない雰囲気が継承されています。

株式会社足立

豊岡市若松町1-8
http://www.adachi-bag.co.jp/

③株式会社三宅初治商店

住宅街のなかにある普通のお家だと思ったら...

扉の向こうは豊岡の鞄の歴史を支えてこられた職人さんたちでした。

三宅初治商店さんは、ベテランの技術者の手によって、ビジネスバッグを中心に一つ一つを手作りで製造しておられます。

住宅街にあって、
ベテランの技術者がたくさんいて、
もちろん一流の技術で仕事をしておられる。

これも、地域の中で育まれた豊岡の鞄屋さんの一つの姿ではないでしょうか。

この職場で一番キャリアが長い方は80歳を超えておられました、まさにレジェンド!

ここでも鞄の修理をしておられました。

もちろん鞄の修理もしておられます

写真の鞄は何十年も昔の鞄だそうです。

「もう部品が無いから。直すのも大変で…
でもここまで使ってもらえると嬉しいですよね!」

社長は本当に嬉しそうにその鞄のことを語ってくださいました。
「豊岡の鞄の“信用”を守りたい」という思いで、一つ一つ大切に修理をされているようです。

株式会社三宅初治商店

豊岡市小田井町15-18

④マスミ鞄嚢株式会社

鞄工場に併設されたギャラリーの見学へ!

夕方に差し掛かった頃、マスミ鞄嚢さんへ。
オーダーメイドの鞄も作っておられる創業100年の企業で、鞄製造企業としては珍しい「木工部」を創業当時から設けておられます。

これまで見てきた鞄屋さんとはまた違う。
持ち運ぶだけではなく家具のように使える鞄など新しい商品を開発されています。

鞄って荷物を運ぶだけでなくてアンティークの家具のようにもなるんですね。

イノベーションを生んでおられるのが老舗の鞄屋さんということで、
豊岡の鞄屋さんのチャレンジ精神を感じられました。

マスミ鞄嚢株式会社

豊岡市立野町5-1
https://masumihono.com/

⑤Toyooka KABAN Artisan School

1年で1380時間鞄と向き合い、鞄漬けの毎日を送ります!

ツアー1日目、最後の見学地はToyooka KABAN Artisan School(豊岡鞄アルチザン スクール)さんです。
ラフスケッチから一人で鞄が作れる職人を育成する、豊岡まちづくり株式会社が運営する鞄のエキスパートを養成する専門校です。

現役の鞄職人さんや鞄デザイナーさんから指導を受けられるので、
卒業後は鞄のデザイナーとして独立したりメーカーに即戦力として就職したり、
まさに世界を舞台に活躍できるプロの人材育成を目指しておられるそうです。

これはワクワクが止まりませんね!

Toyooka KABAN Artisan Avenue
豊岡市中央町18-10
http://www.artisanschool.net/

今回のツアーで思ったこと

豊岡では定番の“鞄の自動販売機”

今回のツアーに同行して率直に思ったこと、
豊岡の鞄は長い歴史があり絶大な信頼を得ていて海外にも販売網がある。
でも思った以上に高齢化が進んでいて人手も足りていない。

豊岡に住んでいると「仕事が無いから都会に出る」という話をよく聞きますが、
鞄の製造現場では人手が足りず後継ぎ問題もあるそうです。

私は豊岡鞄のことを全然知らなかったのですが、
今後は仕事を探している人には豊岡の鞄企業のことを勧めると思いますし、
転職やキャリアアップを考えている友人にも選択肢の一つとして提案するかもしれません。

鞄の会社に就職して後継者になれるかも…って言いすぎですか??
でも私の目にはそんなことが起きそうな業界に映りました。
豊岡鞄、まだまだ可能性を秘めています。

全国からすごいメンバーが集結!

ツアー2日目は、城崎温泉や玄武洞を見ていただいたようです! 豊岡市の名物・出石そばも食べていただいたようで良かった!

全国から応募され一次選考を通過された方の中には、家具デザイナーや建築家もおられました。
皆さんそれぞれの分野の第一線で活躍しておられます。
そんな方からも注目されているのだから、豊岡鞄には未来がある証拠ですね。

プロジェクトが進み、新しい豊岡鞄が誕生するのが楽しみです‼︎

2020年2月、優秀賞が決定!その名も「SASUTICO」

2次審査の結果がToyooka KABAN Artisan Avenueのホームページで公開されました。

グラフィックデザイナーである小竹ひとみさんがデザインされた「SASUTICO」です。
>>Toyooka KABAN Artisan × design projectのWEBページ(優秀賞「SASUTICO」の詳細)はこちら

“スマートフォン、カード、鍵、ハンドタオル。本当に必要なものは少しだけ。
荷物が少なくなった分だけ、より身軽に。より自由になれる。
だけど、急なシーンにも対応が必要。無駄な買い物袋は買いたくないし、環境のためにも使いたくない。
バックを持つなら、なるべく肩への負担の少ないのものがいい。
そんなあなたのよりスマートでかつ、サステイナブルなライフスタイルへ贈るバッグです。”

確かにそうですね!

私も荷物は出来るだけ少なくしたいタイプなので
デザインを見てすぐに「この鞄を使いたい!」と思いました。
体への負担も少なく考えて作られていてビジュアルも機能も備えた鞄は見学ツアーで見てきた豊岡鞄のクオリティそのものです。

今から商品化が待ち遠しいです!

この記事を書いた人

西垣崇史

兵庫県城崎温泉出身。高校卒業後に大阪で映像を学ぶ。
ITインフラが地方でも普及した事で”都会と地方の距離が無くなった”と感じUターン。
市内企業の勤務を経て2016年に「人が集まる場所を作る」をテーマに個人事務所を設立し独立。
飲食と宿泊機能を持つ書店「BookStore iChi」の経営の傍ら株式会社EVAの代表取締役を務める。プロデュースした短編映画「桜が咲く頃 交わした約束は、」がマドリード国際映画祭で外国語最優秀短編映画賞を受賞。

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