【豊岡で起業!第1弾】ビジネス相談窓口IPPO TOYOOKAに取材!

最近、「起業」という言葉を、身近なところでよく聞くようになった気がします。

私自身、この春に勤めていた会社を早期退職して故郷に帰ってくるにあたり、「一応会社組織にしておいた方が仕事しやすいかな」という軽い考えで、「合同会社TAGネット」という会社を作りました。いちおうこれも「起業」ですね。

「合同会社」という言葉を聞きなれない方も多いかと思いますが、一昔前の「有限会社」に代わる制度で、ものすごくざっくりいうと「株式会社の簡易版」です。平成18年の会社法改正により、株式会社を設立するための資本金の最低額が撤廃されたため、極端に言えば「資本金1円」でも株式会社を設立できます。とはいえ、登記費用や年度ごとの手続きなど、やはり株式会社にはそれなりのハードルは存在するため、そのハードルを下げて会社を設立しやすくしたのが、「合同会社」という制度なのです。

……と、ここまでの知識を得た段階で私は会社を作ってしまいました。実は設立した後のことをあまり深く考えていなかったのです。コロナ禍の影響もあってなかなか仕事が増えない中、経理やら税務やら社会保険やら…会社を作るって、それなりに大変なことなんだなぁと思い知らされている今日この頃です。もちろんこれは、ひとえに私の準備不足によるところなのですが…(苦笑)。

私の場合は業務内容が「情報発信」という、仕入れも店舗も設備投資もいらない業態で、現状では自分以外に従業員もいないのでまぁなんとかやっていますが、通常の起業の場合、当然それなりの「初期投資」がかかります。それを回収しさらに利益を出していくためにはきちんとした「事業計画」を立てなければなりませんが、それはなかなか難しい。そんな時、ぜひ活用したいのが行政によるさまざまなサポートです。豊岡市にも起業サポート制度や補助金がいろいろあり、今日はその中のひとつ、ビジネス相談窓口の「IPPO TOYOOKA」をご紹介します。「IPPO TOYOOKA」は、これから起業、創業を考えている方が無料で気軽に相談できる窓口で、実は私もつい最近までその存在を知りませんでした。もっと早く知っていたら…という後悔の念を抱きつつ、相談員をされている今井秀司さんに、IPPO TOYOOKAが誕生した経緯や、ご自身も起業家としての顔を持つ今井さん自身のことなど興味深いお話をたくさん伺ってきました。

そして、今後、IPPO TOYOOKAの今井さんを通じて豊岡市で起業した方々も取材し、ご紹介していきますので、ご期待下さい!

3つの顔を持つ男

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――今井さん、お会いするにあたり、一応今井さんのプロフィールを調べさせていただいたんですが、正直、何をされている方なのかよく分からなくて…

「いろんな顔がありまして(笑)

私の仕事は、大きく言うと3つあります。一つはビジネスコンサルティングですね。京阪神を中心に、いろんな企業さんに経営全般のアドバイスをさせてもらっています。二つ目はクリエイティブデザイン。電子書籍で絵本を発行する「絵本屋.com」というレーベルをやっています。そして三つ目が地方創生に関する仕事。これが、IPPO TOYOOKAでの起業相談ですね。だいたい月の初めは京阪神にいて、それ以外はこちらで仕事をしています。」

 

……と聞いたものの、やっぱりまだ何をしている方なのか全体像がつかめない……

というわけで、まずは今井さんの生い立ちから伺うことにしました。

竹野に生まれて、ビジネスに目覚め…

今井さんが生まれ育った竹野町

今井さんは、豊岡市竹野町出身。もともとはミュージシャン志望だったけれど、高校3年の秋に病気で入院中に生死の境をさまよっている人たちを間近に見て、考え方に変化が生じたそうです。京都の大学に進学したころには、将来は自分で起業しようという気持ちが芽生えていたのだとか。

卒業後はある大手企業に営業職として就職。一日100件の飛び込み営業といったかなりハードな仕事もしていたそうですが、「もともと25歳くらいで起業する(独立する)という目論見があったので、自分を鍛えるにはいい機会かと思っていました」と笑って振り返ります。

その後、転職した大手人材ビジネス企業でも法人営業担当として求人広告や人材紹介の仕事をした後、人材ビジネスのベンチャー企業を仲間と経営するに至りました。そうして多くの企業と仕事をする中で、たくさんの経営者の話を聞き、「事業戦略」「ビジネスの勘所」を少しずつ身につけたのだそう。

そして2011年に個人創業し、コンサルティング事務所「ピースライフジャパン」を新たにスタート。京都を拠点に、京阪神に多くの顧客を持って企業コンサルティングの仕事で活躍します。一方で、2015年には「絵本屋.com」という、電子書籍のベンチャービジネスも起業しています。現在17人の絵本作家と契約し、80タイトルを出版。「私はプロデューサー兼編集者兼発行人ですね。キンドルの総合売上ランキングで2位を獲得した作品もあり、『大人が楽しめる電子書籍絵本』というジャンルではトップランナーだという自負はあります」。

但馬にUターンした理由

左から今井さんと同じくIPPO TOYOOKA相談員の臼井さん、実際に起業や事業について相談された岡田さん、友田さん、IPPO TOYOOKAの今井さん

――ベンチャービジネスの起業家としても大忙しだった今井さん。但馬に帰ってこようと思ったきっかけは?

「いまから8年ほど前、36歳くらいの時でした。18歳まで但馬にいたため、ちょうどそれと同じだけ京都にいるなと思ったんですね。それまでも自分なりに京都に貢献してきたつもりだったんですけど、やっぱり自分の地元は但馬だと。地元に何か貢献できることはないかという思いが芽生えたこともあり、豊岡市のホームページもときどきチェックするようになっていました。どうせ帰るなら、自分で何かを生み出せる元気があるうちに帰りたいと。京都と豊岡の二重生活(最近ではデュアルライフと呼ばれるものです)でやっていこうと決め、2018年の2月下旬にUターンしました。それから1年後に豊岡市の経済政策として起業支援拠点を作ろうという構想が生まれ、公募のプロポーザルが出ているのを見て応募したら採用されて、IPPO TOYOOKAの開設に至りました。」

IPPO TOYOOKA

IPPO TOYOOKAの拠点・FLAP TOYOOKA(じばさんTAJIMA 5階)

改めて説明すると、IPPO TOYOOKAとはこれから起業、創業を考えている方が無料で気軽に相談できるビジネス相談窓口のことです。

ちなみに、IPPO TOYOOKAというネーミングも今井さんが提案した案で、『起業のためのはじめの一歩』というだけでなく、Idea(発想)・People(人)・Place(場所)・Opportunity(機会)の頭文字をとって「IPPO」。今井さんの「アイデアを持った人に場所と機会が与えられれば、新しいものが生み出せる」という想いが込められています。

IPPO TOYOOKAが立ち上がって1年2か月。これまで、40人近くの方から100回以上の相談を受け、11人の方が事業開始を果たしています。

起業に“地域差”はない

穏やかな表情で相談に答える今井さん

「一番強く感じているのは、ここが“田舎”だとは思わないということですね。IPPO TOYOOKAに相談に来られる方々は都会に引けを取らない、どこでも通用するアイデアをいっぱい持っています。一方で、一番『どこにいてもできる仕事』であるIT系の起業が少ないように感じます。IT企業はもっともっと増えていいんじゃないかと思いますね。ちなみに、うちの「絵本屋.com」なんかは、ずいぶん前からほぼフルリモートですよ。そういった意味でも、いまや起業に“地域差”はないんじゃないかと思います。

今は年間10件の起業実績を作ることを目標にしています。私がお手伝いして起業した人が増えてきたら、次の段階として、その人たち同士のつながりを作っていきたいですね。イベントとか、勉強会とか、みんなでビジネスモデルを議論する機会を作れば、そこからまた新しいことが生まれてくると思いませんか?最近『クラスター』という言葉が『集団感染』という意味合いで広まっていますが、ビジネス用語では『いろいろな企業や組織が相互の連携・競争を通じて新たな価値を創り出す』という意味です。今はコロナの影響で『集まる』ということができにくい状況ですが、将来的に但馬で『産業クラスター』ができ、IPPO TOYOOKAがそのハブになれたらと考えています。」

今井さんからのメッセージ

「起業とか創業とか、難しく考える必要はありません。漠然と『こんなことやりたいんだけど…』という想いがあれば、まず相談に来てほしい。その先の具体的な道筋についてはアドバイスできますので。

本当に大変なのは、「その先」なんです。予見できないことが起きた時のリスクにどう対処するか。いままさにコロナ禍で大変なことになっていて、確かに新型コロナウイルスというのは予見できなかったことではあるんですが、他にもリスクっていっぱいあるわけです。例えば地震とか、水害とか、そういった災害はいつ起きてもおかしくないわけですよね。そうなったときにどう対処するのか、最悪のケースも想定して事業戦略を考える必要があります。

私自身の経験でいえば、『絵本屋.com』では最近、サブスクリプションでの購読が主流になってきているため、たくさん読んでもらっている割には収入が伸びなくなっています。そこで、著作権の活用というビジネスモデルをいろいろ展開しはじめています。例えば、紙の書籍での出版とか、他言語への翻訳とか、映像化とか。LINEスタンプやノベルティグッズといった展開もありますね。そういった、情勢に応じた事業展開を考えておくことは大切でしょう。」

取材後記

今井さんが但馬に帰ってくるにあたって抱いた「地元に貢献できることは何かないか」「どうせ帰るなら、自分で何かを生み出せる元気のあるうちに」という気持ち、私もまったく同じでした。私の場合、これまでは「テレビ局の番組制作者」という立場で少しでも地元に貢献したいと思っていました。そして、但馬を離れて36年(但馬で暮らした期間のちょうど倍!)が経ち、「地元に帰ってきた方が自分にできることは大きいのではないか」という思いに至りました。それが私にとってのタイミングだったのかな、と思っています。

そして、「なんちゃって起業家」の私としては、今井さんのお話は目からウロコが落ちるようなことばかりでした。インタビュー中、一起業家の顔になって「『絵本屋.com』を『圧倒的存在感』を持った企業に育てたいんですよ。一つのメディアとして認知され、誰もが『大人向け絵本=絵本屋.com』と認識するまでにしたいですね」と話す今井さんがとてもカッコよかった。こんな専門家が身近にいてアドバイスしていただけることが、本当に心強く思いました。

今井さん、今後ともよろしくお願いします!

【取材先】
IPPO TOYOOKA
〒668-0041 兵庫県豊岡市大磯町1番79号 [MAP] 

この記事を書いた人

田上 敦士

城崎生まれ。大学進学で上京し、大阪のテレビ局に就職して30年余り。早期退職して但馬に帰ってきました。
合同会社TAGネット 代表(といっても、社員は私だけです)

http://www.tag-net.work

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