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変わりゆく街で~仕事と暮らし~ vol.1

津居山漁港

城崎温泉から車で5分程のところに位置する津居山漁港。

津居山がに(松葉がに)が有名なこちらの漁港では、

11月6日の解禁日から3月20日頃まで、

ほぼ毎日のように松葉がにの競りが行われています。

(市場が休みである土曜日や海が荒れている日はお休みです)

解禁日にはたくさんのメディアの方々が取材に来られます。

松葉がに漁に関してはこちらの記事も。

 

「豊岡市の魚屋が書く!松葉がに漁解禁!」

 

「松葉がに漁解禁!vol.2」

 

期間限定のせこがに

資源保護のため、せこがに(雌の松葉がに)の漁は

11月と12月のみ行われています。

数が多いので時間がかかるため、その間の競りは

いつもより少し早い午前7時15分に開始されます。

(通常は午前7時45分より開始)

魚屋の朝

当然のことながら、出勤前の家の中ではこども達3人の朝の支度と共に

ドタバタ劇が繰り広げられる毎日。

それでも時間に追われながら7時にはなんとか準備完了。

ゴミ袋を手に、愛車の軽トラックに飛び乗り家を出ます。

かれこれ四半世紀ほど前にさかのぼりますが、

どうせなら…と取ってみたマニュアル車の免許が

今となってはとても役立っています。

通勤途中の風景

ほどなく円山川の河口にかかる大きな橋を渡り、競り場へと急ぎます。

正面が津居山漁港。右手は気比の浜。

漁港と浜の間に見えるのが日本海。

道中にはイカ釣り漁船も停泊。

こちらに移住して来るまでは、

想像もしなかった通勤途中の風景です。

家を出て5分ほどで競り場に到着。

美しい日の出が迎えてくれて、一瞬で朝のドタバタ劇をリセット。

潮風とキリっと冷えた空気感に気持ちが切り替わります。

競りが始まる前には、カニを降ろして並べる漁師さんや

手伝っておられるその家族の方々、

そして買受人の皆さんも集まり活気づいてきます。

漁港のすぐ目の前に競り場があるので

城崎温泉の鮮魚店では朝獲れの魚介が即店頭に並んでいることも。

温泉街と漁港も車で約5分。

鮮度がいいのはこの距離の近さにもあります。

赤いかは1メートルを超す大きさのものも。

こちらはアンコウ。

松葉がにだけでなく様々な魚介が水揚げされます。

その話はまた別の機会に。

話は戻って。

午前7時15分になると

ジリジリジリ!!

というベルの音と共に威勢の良い競り人の声が響き渡り、

競りが開始されます。

競りは1箱ずつ順番に行われます。

競り人が持つ棒の先の魚介が競り落とされると、

隣の男性はすかさず、どの買受人が競り落としたか紙に記入し、

その魚介のトロ箱の中へ紙を入れます。

例えばウチの夫が競り落とすとこうなります。

「お」は「おけや」の「お」。

「おけや」というのは我が家の屋号です。

かつて桶屋さんをしていたらしく、桶が生まれることから

苗字が桶生(おけしょう)になったのだとか。

 

この地域では普段からお互いの事を屋号で呼ぶ習慣がまだまだ根付いています。

我が家の息子たちは夫と顔が似ていることから、

津居山を歩いていると

「あー“おけや”の?」(「あら、あなた桶生さんところのお孫さん?」)

と声をかけられることも。

年配の方には本名を名乗るより屋号を名乗った方が早く伝わる上、

親しみを持ってもらえるので話が盛り上がります。

そして競り場での私の役目はと言うと、

その「お」が入った箱に印となるメモを入れ、

同時に競り落とした魚介の種類やランクや注文事項を帳面に記入します。

これがものすごいスピードで進んでいくので、

間違えないように付いていくのが大変です。

寒さと集中力で一気に目が覚めます。

余談ですが…

愛用の帳面のボードの裏に貼ってあるのはこのステッカー。

カニだって十蟹十色!

カニは様々なカテゴリーに仕分けされています。

甲というのは甲羅のこと。

 

堂々と短足のレッテルを貼られたりもします。

カニの世界は、ああ無情。

カニだってみんな違ってみんないい。

たまには甲羅がへこんでたりもしますよね。

小指がなかったりも。

大きなカニはキロ数が記載されていることも。

もし自分がカニだったらどのカテゴリーに…とふと思ったりします。

どちらかと言うと「短足」かも。

でもそこそこの年齢は重ねてきたのでランクは中年の「中」。

でも体重は記載しないで!

こうして競りは続いて行き、長い時には午前10時半や11時頃まで

行なわれることもあります。

地域には漁業に携わっている方々がたくさんおられるので、

小・中学校でも漁業はとても身近な存在として捉えられています。

学校からの依頼で、魚料理教室や漁業のお話をさせてもらいに行くことも。

暮らしが仕事、仕事が暮らし

そんなこんなで…

身近に漁港がありそこでは今でも屋号で呼ばれていたり、

そのすぐ先には職場である店があったり。

仕事と人と暮らしが密接に繋がっています。

 

そんなことをぼんやりと思っていた時、

こんなタイトルが表紙にドドン!と載った雑誌が発売されました。

「暮しが仕事 仕事が暮し」

今城崎温泉で行われている新しい取り組みが特集されていました。

 

雑誌の発売と時を同じくして…

ある日のこと。

突然京都の見知らぬ女性から、

「飛んでるローカル豊岡の記事を読ませて頂いたのですが、

一度会ってお話しをお聞きできませんか…?」

とのメッセージが…

 

雑誌と女性と暮らしと仕事。

そこにはある共通点がありました。

 

「変わりゆく街で~仕事と暮らし~ vol.2」

へと続く。

この記事を書いた人

桶生美樹

2000年10月、こども英会話の講師を辞めて魚市場で働く夫とミレニアム婚。生まれ育った姫路から大阪へと移り住む。2002年日韓ワールドカップ終了を機に、サッカーをこよなく愛する夫は大阪の魚市場を辞めて、実家が営む城崎温泉の魚屋を継ぐことを決意。夫婦で豊岡市へと移住することに。現在城崎温泉と日本海の美味しい魚にすっかり魅了され、魚介で四季を感じる暮らしをすっかり満喫中の3児の母。
(株)おけしょう鮮魚
お食事処 海中苑
☎0796-29-4832

http://www.okesyo.com/

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