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【豊岡で起業!第6弾】お菓子の工房「Atelier15時」さんに取材!

みなさん、こんにちは。市民ライターの田上敦士です。

豊岡で起業された方をご紹介するシリーズ、第6弾はこんなお菓子を作っていらっしゃる工房へ取材にうかがいました。

まさに「インスタ映え」する、美しいクッキー。

それも納得、これらのクッキーを作っている「Atelier15時(アトリエジュウゴジ)」の岡本沙知さんは、もともとガラス工芸のアーティストだったのです。

岡本沙知さん

ガラス工芸アーティストとして活躍

豊岡で生まれ育った岡本さんは豊岡高校を卒業後、大阪の大学の芸術系の学部に進みました。当初は絵画を学ぼうと進んだ大学でしたが、在学中にガラス工芸の世界に魅せられてその道に進むことを決意。卒業後も北海道で1年間ガラスの造形について学びました。その後豊岡に戻り、ガラス工芸アーティストとしての活動の傍ら、市内の学校で美術の講師も務めました。当時は豊岡市美術展で市長賞なども受賞されています。

当時の岡本さんの作品

30歳で結婚し、3人の子どもを出産。子育てが忙しく、大掛かりな設備のある場所に通わなければならないガラスの造形には手が回らなくなり、いったん制作活動の休止を余儀なくされました。その時、何か家でできる創作活動はないかと考えて、子どものころから好きだったお菓子作りを本格的に始めたそうです。

岡本「4年くらい前から、作ったお菓子をインスタグラムにアップするようになりました。最初はけっこう勇気が要ったんですけど…実際アップしてみたらけっこう反響があり、『販売してほしい』という声をいただくようになったんです。」

「そして、3年前から、出石にオープンしたカフェでキッチンを借り、そこで焼いたクッキーを販売させてもらうようになりました。さらにその後、日高のカフェでも販売を開始。すると徐々に評判になり、いつしか大人気に!

岡本「これなら、仕事としてやっていけるかも…と思うようになりました。もともとガラスの作品を作っていた時も自分の作品を販売していたので、感覚としてはその延長でしたね。」

起業を志し、IPPO TOYOOKAへ

キッチンに立つ岡本さん

お菓子作りで起業しようと志した岡本さん、2020年にIPPO TOYOOKAへ。当時はコロナ禍のため、オンラインとメールでの相談でした。

岡本「IPPO TOYOOKAでは相談員の今井さんに起業について一からいろいろ教えていただきました。とにかく前向きな方なので、私が言うことを決して否定されず、受け入れた上でどうしたらいいかアドバイスしてくださいました。」

指導を受けながら事業計画書を作成。市内のカフェでの販売やイベントへの出展もしつつ、事業展開の主力はオンラインストアに。

岡本「お店のHPも、今井さんに紹介いただいた香美町のデザイン事務所にお願いしました。お菓子を作るキッチンは自宅の敷地内に建てたんですが、初期費用を抑えるためにDIYで建てることにしました。夫が造園業の会社に勤めているので、基礎も含めて夫に建ててもらうことができました。」

3か月ほどかけて建てられたというキッチンを見せていただくと、全くDIYとは思えない仕上がり。電気工事やオーブン、冷蔵庫などの器具や調理道具の購入費用には補助金を受けることができたそうです。

岡本「自宅はオール電化にしてるんですけど、オーブンはやはりガスの方が熱量が大きいので、ここだけガス管を引いています。電子レンジは、ナッツ類の乾煎りやバターを溶かすのに使いますし、マフィンを焼くときには電子レンジの方がふんわり焼き上がるんですよ。冷蔵庫も、補助金のおかげで大きいものが買えて助かりました(笑)」

2020年の年末にキッチンが完成。それから保健所への申請手続きなどを経て、3月上旬にオンラインストアをオープンさせました。

事業開始からわずか半年あまり、「いつも完売」の人気店に

取材にお伺いしたのは11月中旬。事業開始から8か月ほど経ちましたが、どうですか?

岡本「いまのところ、だいたいイメージ通りに進められていますね。製造から発送まで一人でしているのであまりたくさんは作れないのですが、作った分は全て買っていただけています。」

お客さんの層についてはどうですか?

岡本「お菓子というと『子ども向け』というイメージがあるかと思うんですけど、私のところのお客さんは私と同年代か、少し上くらいの方が多いですね。もともと、自分が見てもかわいいと思える『大人かわいい』お菓子を作りたくて始めたので、メインターゲットは『30代~50代の、暮らしを楽しむことに積極的で衣食住にこだわりがある女性』としていました。お客さんの6~7割がリピーターで、そのうち8割くらいは但馬以外のところに住む方ですね。イベントなどへの出店もしていますが、コロナ禍でイベント自体が少なかったこともあり、今はインスタグラムを通じて知って下さった方がほとんどです。」

岡本「やはりお菓子のビジュアルについては、美しさとか遊び心といったこだわりがあります。同時に、せっかく但馬で作っているので、豊富な地元の食材を生かし、季節ごとに旬のものを使って作っていこうと思っています。結婚後、義父母が自然農法を実践していたことや、さらに育児の経験も経て『食育』や『食の安全』への関心も高くなったので、体にやさしく栄養価の高いお菓子作りを心掛けています。

季節感も大切にしていきたいので、母の日やハロウィーンなどには季節限定のお菓子を作っています。そろそろクリスマス商品の仕込みをする時期ですね。」

トータルに「おやつ時間」を楽しんでほしい

順調に事業をスタートさせた岡本さん。今後についてはどんなイメージを持っていますか?

岡本「一人で作っているのでSoldOutになっていることが多く、お客さまからも『いつ買えるの?』と言われるたびに申し訳なく…。できるだけご要望にお応えできるように頑張っていこうと思っています。
将来的には、キッチンに設ける窓口での対面販売もしていきたいですね。遠方の方にはオンラインストアで販売し、地元の方には直接対面で、という形がとれればと…。一人でやっているのでいっぱいいっぱいですが、曜日や時間を限定して営業すればできるんじゃないかと考え中です。」

岡本「実はキッチンは、窓口販売ができるようになったらショーケースが設置できるよう改造できる造りになっています。最終的には、お菓子と一緒に飲み物や、職人さん手作りの器など、「おやつ時間」を楽しんでもらうためのものをトータルに提供できるお店にすることが夢ですね。お店の名前の通り『大人が楽しむ3時のおやつ』のための工房にしたいです。」

「但馬にいながら全国へ発信できる…いい時代ですね」

最後に、同じように起業を志す方へのメッセージをお願いします。

岡本「地方にいても起業しやすい時代になったと感じます。いまの時代、地方からでもアプローチの道はいっぱいあります。但馬に居ながらにして、発信すれば全国の方に知っていただけるんですから、いい時代ですよね(笑)。私自身、勇気を出して自分の作ったお菓子をインスタにアップしたことが今につながっているので、起業しようという方は、チャンスがあれば積極的に発信していくことで道は開けるんじゃないかと思います。」

取材を終えて

まさにこのコロナ禍真っ只中での起業とあっていろいろな苦労があったのではないかと思っていたのですが、お話を聞いた限りでは「リモートの普及」「巣ごもり需要」といった流れはむしろ追い風になったようです。商品自体も「インスタ映え」がアピールポイントの一つという、まさに今の時代にぴったりの事業展開でしょう。

ただ、「アトリエ15時」さんのお菓子は、単に表面的な「映え」だけを追ったものではありません。ガラスの造形で磨いたアートの技術と、「食の安全」「地産地消」への思いがしっかり込められた商品を作っていらっしゃるからこそ、たくさんの方に支持されて事業が順調に進んでいるのだと感じました。

この記事を書いた人

田上 敦士

城崎生まれ。大学進学で上京し、大阪のテレビ局に就職して30年余り。早期退職して但馬に帰ってきました。
合同会社TAGネット 代表(といっても、社員は私だけです)

http://www.tag-net.work

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