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【豊岡で起業!第7弾】日本語教育と外国人材受け入れ支援「にほんごぷらす」さんを取材!

こんにちは!2019年に都市部から生まれ故郷の豊岡市へUターンしたえりかです。

突然ですが、みなさんは豊岡市にどのくらい外国の方々が暮らしているか知っていますか?

10年の変化 市の外国人住民は、2009年末の653人から、2019年末の845人へと、10年間で約1.3倍に増加し、人口の1%を占める(全国では、総人口の2.2%)。韓国・朝鮮や中国など東北アジア出身者が減少するが、一方でベトナム、フィリピン、インドネシアなど、東南アジア出身者が増加している。

引用:2019年度「外国人住民に関する調査研究」報告書(概要版)

参考:2019年度豊岡市・神戸大学共同研究「外国人住民に関する調査研究」報告書より

豊岡市と神戸大学の共同研究によると、外国人住民の割合は年々増加傾向にあることがわかります。(新型コロナウイルス感染症の影響により2021年現在の外国人住民数は変動している可能性があります。)

豊岡市人口の1%、人数にして845人(2019年末)と聞くと「意外とたくさん外国の方が暮らしているんだ!」と実感してきませんか?

起業シリーズ第7弾目の今回は、外国人への日本語教育と、外国人材を受け入れた企業支援を行う「にほんごぷらす」を立ち上げた河本美代子(こうもとみよこ)さんを取材しました。

にほんごぷらす 河本美代子さんプロフィール

日本語指導歴は国内外で15年以上!中学生と小学生のお子さんを育てるママの一面も。

兵庫県姫路市出身。

大阪外国語大学(現大阪大学外国語学部)日本語教育専攻。在学中1年間休学して、アメリカ(インディアナ州)の中学・高校の日本語クラスでALT(外国語指導助手)を務める。大学卒業後は中国に渡り、日系企業で日本語教師として従事。帰国後も神戸や大阪の日本語学校で講師として活動。

2004年、結婚を機に豊岡市へ移住した翌月から豊岡市国際交流協会で外国人への日本語ボランティアとして活動。

2012年、NPO法人にほんご豊岡あいうえおの設立に携わり理事長就任。

2021年2月、日本語教育と外国人材受け入れ支援を行う「にほんごぷらす」を設立。

【日本語教育能力検定/職場の外国人受け入れ環境整備プロジェクト初級監査人】

 

なぜ、日本語教師に?

ー河本さん、本日はどうぞよろしくお願いします。早速ですが、日本語教師を志したきっかけを教えてください。

「中学生の頃英語が好きで、母に頼んで個人運営の英会話スクールに連れていってもらったんです。外国人の先生だったのですが、彼女を見ていて『自分の国の言葉を外国の人に教えるのって楽しそう!日本語を海外に行って教えたら楽しそうだな』と思ったのがきっかけでした。それから現在に至るまで初志貫徹です。笑」

ーかっこいい!中学生の頃からの夢を今も叶え続けているって素敵です。

「でも、仕事としてはあまり安定していないんですよ。今でこそ全国に日本語学校が増えてきて、この職業の認知度が上がってきていますが、私が学生の頃はそれほどメジャーではありませんでした。国内の日本語教室で常勤として働くにはどれだけ日本語教師として活動してきたかという経験が重視されたんです。大学在学時にはアメリカで、卒業後には中国の日系企業で経験を積み、帰国後は非常勤講師として経験を積んでいきました。いくつか教室を掛け持ちしながら、ウェイトレスのバイトをやっていたこともあります。非常勤、常勤、ボランティアと、形を変えながらも日本語教師としての活動は続けてきました。」

起業するきっかけ

実際のクラスの様子。マスクをしていても河本さんの声はすっきりクリアでとても聴きやすい。

日本語教育をライフワークにすると決めていた河本さん。「豊岡にも外国の方はいる。きっと私にできることがある。」と勤めていた日本語学校を退職し、結婚を機に豊岡市へ移住。すぐに豊岡市国際交流協会で日本語教師のボランティアとして2人の子どもを育てながら活動し、2012年有志とともにNPO法人にほんご豊岡あいうえおを設立し理事長に就任されました。

ー環境が変わっても日本語教育という軸を大切にして活動されていますね。今回にほんごぷらすを設立するに至った経緯を教えてください。

「NPO法人の活動を通して見えてきた課題がありました。それは外国人労働者にどうやったら日本語教育を届けられるのかということです。日本で暮らす外国人はおよそ300万人。うち半数以上の割合を労働者が占めています。豊岡に住む外国の方も仕事に就いているため忙しく、国際交流協会やNPO法人等の機関を利用できる人は限られてしまいます。日本語がわからないままだと、外国の方が本来持っている力を十分発揮できないのはもちろん、受け入れ企業にとってもせっかくの人材を活かしきれずに大きなロスになっていることに気がつきました。企業と連携して、しっかり日本語を勉強する時間と場所を作らないといけない。でも豊岡にはそこをフォローする受け皿がない。それなら私が作らなきゃと思いました。」

2019年の入管法改正により特定技能という新しい外国人在留資格が新設され、少子高齢化による人手不足解消のために外国人労働者の数が今後も増え続けると言われているタイミングでの気づきでした。

そして起業へ

受講生にわかりやすく教える河本さん。日本人である私も「なるほど!」と勉強になる場面ばかりでした。

ー豊岡市の起業相談窓口IPPO TOYOOKAとの出会いは?

「こんな事業がしたいな〜と言っていたら、知り合いが教えてくれたんです。電話をかけたら相談員の今井さんが対応してくださって、それから月に1回のペースで相談に通いました。すごく応援してくださって、補助金が使えることを教えてくださったり、事業のパンフレット作成のアドバイスをいただいたりとIPPO TOYOOKAの伴走のおかげで無理せず起業の流れに乗ることができ、2020年2月ににほんごぷらすを立ち上げました。」

ー事業内容について詳しく教えてください。

外国人材への日本語教育は大切なおもてなし

「ひとつは企業で働く外国人の方への日本語教育です。“ことば”は本当に大切で、意を決して日本で働こうと来られた方にいち早く日本語を学べる場を提供することが、最初にできる大切なおもてなしだと考えています。企業への出張型やオンライン、教室へ直接来ていただくなどして、その方の職種や仕事の内容、日本語レベルに合わせて完全オーダーメイドでカリキュラムを作成します。

また、日本語を教えるのはもちろんですが、限られた受講時間の中必要とされる日本語のレベルも違うので、すぐに結果が出ることではありません。なので、いかにこの教室が終わった後も、勉強の『リズム』『動機付け』『継続』をしてもらえるのかということを大切にしています。」

優秀な外国人材に選ばれる企業に

「そしてもうひとつは、外国人材を受け入れる企業側の支援です。外国の方を受け入れたはいいが、どう教育したらいいのかわからない企業様が多いのが現実です。今はまだ『アニメや文化が好き!』という理由で日本を選んでくれていますが、外国人の受け入れ体制で見るとアメリカやヨーロッパの方が言語教育体制が整い、給与などの雇用条件も優っています。今後世界中で人手不足になると言われている中で、優秀な外国人材に選ばれるために、企業様に対して外国人材の受け入れサポートや長く働いてもらえる環境整備のサポートを行い、体制を整える大切さの意識付けを担えたらと思っています。」

すでに、旅館業や介護施設等、企業で働く外国人材への日本語教室の開催や、豊岡市にある特定技能外国人登録支援機関のBiz C support(ビズシーサポート)と連携を取るなどして支援を行なわれています。

取材の日は市内の建設会社で働く2名の受講生が。専門的な技術や知識を有する高度人材として、ベトナムより来日されている優秀なお2人!

日本語教育はみんなのWINにつながる

河本さんは最初の日本語教育が外国人材だけでなく、企業や地域にとっても本当に大切と教えてくださいました。

「外国の方にとっては、日本語を勉強できる環境を整えてもらうことで会社に対して満足度や信頼感が増し、日本での生活にも安心感を覚えます。企業様は外国人材とうまくコミュニケーションが取れるようになり、仕事の作業効率も上がります。今はSNSですぐに情報が伝わる時代ですから、更なる優秀な人材確保にもつながる可能性もありますよね。そして雇用が増えることによって地域の活性化やグローバル化にもつながります。」

受講生の2人がとても意欲的に学んでいました。

ー文字通り「にほんご」を「ぷらす」するだけで三方よしですね!将来への展望をお聞かせください。

「豊岡で看板を掲げた理由の中の一つに、私がここ豊岡で日本語教師を“お仕事”として働いている姿を実現することで、仲間が増えたらなという想いがあります。仕事になれば、豊岡に帰ってみよう、行ってみようという方が増えるかもしれません。豊岡に日本語教師が増えたら、たくさんの地元企業様とも連携が取れます。国際交流協会、NPO法人、行政とタッグを組んで地域の活性化につなげていけたらと考えています。日本人外国人関係なく、子どもから大人まで多様な人たちが暮らしている多文化共生のまち豊岡、その中の一つを担えたらと思っていますよ。」

ーありがとうございます。それでは最後に、豊岡へ移住を考えている方、起業を考えている方にメッセージをお願いします。

「都市部にいたらできない経験がたくさんできています。都市部では大勢の中の1人になってしまいがちですが、豊岡は一人ひとりオンリーワンになれる街だと感じています。本当に地域のチカラがすごくて、私がたくさんの方に助けていただいて今ここに居るように、応援してくれる人がたくさん居る街ですよ。」

取材を終えて

とてもフラットで楽しい雰囲気の授業。河本さんが終始「日本語の勉強はずっと続くから、無理だけはしないでね」と気遣う言葉をかけておられたのが印象的でした。

透明感のある柔らかい雰囲気の河本さん。自然体でマイルドにお話される感じと、課題を論理的に分析して起業にトライされている行動力、ブレない軸で人生を展開されている力強さとのギャップに驚きました。

「たくさんの人に助けてもらいながら、自然なタイミングに身を任せているだけですよ。」と謙遜される河本さん。

移住、結婚、子育てなど、訪れるライフステージの変化の波をポジティブに乗りこなしている様子がとても印象的で、同じ女性としてこうありたいなと勇気をいただきました。

河本さんの今後のご活躍からも目が離せません!心から応援しております!

 

【取材先】

にほんごぷらす

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Tel:050-3173-8250  Mail:nihongoplus.2021@gmail.com

外国の方をすでに受け入れている、またこれから雇用を考えているという企業のみなさま、にほんごぷらすさんは相談からでも問い合わせ可能です。随時受付されていますのでこの機会にぜひ。

 

この記事を書いた人

えりか

神戸→東京→大阪→2019年豊岡市にUターン。

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