豊岡市の次の大きな目標。すごいよ!
シンポジウムに行ってきました。
こんにちは。
飛んでるローカル豊岡市民ライターの井垣真紀です。
城崎温泉の写真屋に嫁に来て13年になりました。
さて、2019年5月20日。
私たちが住む豊岡市が制定した大切な日、「生きもの共生の日」(※)に、豊岡市長を交えたあるシンポジウムが行われました。
市の職員さんにお誘いいただいたけれど、なんだかよくわからないなぁって思いながら、出かけました(超本音)。
でも!
行って良かった!
めちゃめちゃ感動して、涙目になりました。伝えたい気持ちが溢れました。
この感動が伝えられるか自信がないのですが、頑張りますので読んでください。
まずは、話を聞いてもピンとこなかった私に、ガツーンときた動画。
これから見てもらいたいです。市長が自分で話される前に、この動画を見せてくれました。
日本の、ある小学校で授業参観が行われました。
どう説明されてもよくわからなかったことが、この動画でよくわかりました。
ぜひ見てみてください。↓ ↓ ↓
ある小学校の授業参観の動画(ジョンソン株式会社作成)
ある小学校の参観日。
保護者は別室に移動し、我が子の教室の様子を画面で見せられます。
そして、画面の中の先生の発言にびっくりします。
「今から、女子だけ掃除します。男子は外で遊んできてください。」
なんで???
納得いかない顔をしながらも掃除を始める女子たち。
楽しそうな男子を羨ましそうに見ながらも窓拭きをする女の子。
時間が来て、教室に戻ってきた男子。
「あ、ゴミが落ちてる。ほんとにちゃんと掃除したの?」
この言葉にハッとする、あるお父さん。
思わず、隣にいるお母さんに、「ごめんなさい。」
男の子の発言が、家庭での自分と重なったようです。
舞台が小学校なら、誰でもわかるのに。
舞台が小学校だと、「なぜ女子だけが?」と、すぐにおかしいと思うのに。
家庭では、職場では、どうですか?
うちの場合。
ダンナは洗濯物を干してくれることもあるし、ゴミ出しもしてくれる。
食事を作ってくれることもあるし、洗い物をしてくれることもある。
でも。
夫婦で朝から1日中撮影をして帰宅。
私だけ、ノンストップで米を洗い、野菜を刻みながら、子どもに宿題をしたか、明日の用意をしたか声かけし、学校のプリントをチェック、音読を聞いて、親のサイン、合間にお風呂掃除してお湯を入れる。
その間、ダンナは座ってテレビをつけてビール。しかも、彼には全く悪気はない。
「真紀ちゃんも飲む?」と笑顔。
いやいやいや。なんで??
なんでこんなに違うの?
同じ家の中にいるのに、別の次元に暮らす人みたい。
家族なのに、ずっと上手に伝えられずにいたこと、不機嫌になることでしか表現できなかったこと。
もう半ば諦めていた「なんで??」を、こんなにわかりやすく表現してくれたことに胸がいっぱいになりました。
ジェンダーギャップ(男女格差)の解消
世代によっても、感覚は違うと思います。私より上の世代は、もっと男女の役割がはっきりしていたと思います。
私は、男女平等とか、女性の権利、とか、正直うんざり。
男女雇用機会均等法ができて、もう30年。
もうこれ以上、どうにかなるものではないんじゃないの? と思っていました。
だって、妊娠するのも母乳が出るのも女性だけだし。どうしようもないんじゃないの? って。
そして、改めて考えてみると、
私の中にも無意識のジェンダーギャップがありました。
- お父さんだけが子どもを連れていると、偉いなぁ! と思う。
- スーパーで男性がひとりで買い物をしていると、ちょっとびっくりする。
- ダンナが稼ぎ頭でいてくれないと! と実は思ってる。
- 子どものことは母親がするもの、と思ってしまう。
まだまだある気がします。
この言葉の男性と女性を入れ替えてみたら……
- お母さんだけが子どもを連れていると、偉いなぁ! と思う。
- スーパーで女性がひとりで買い物をしていると、ちょっとびっくりする。
- 奥さんが稼ぎ頭でいてくれないと! と実は思ってる。
- 子どものことは父親がするもの、と思ってしまう。
限定するの、おかしいですよね。どっちでもいいのに。
自分の中の自分の考えにびっくりします。
女性だけでなく、男性も苦しんできたかもしれません。
こういった無意識の中のもの。個人の心に潜む自分でも気づかないジェンダーギャップ。
こんなものは変えようがないと思っていました。
豊岡市の挑戦
でも、市長は、
「ジェンダーギャップの解消に市として取り組みます。
働く女性はものすごく増えたのに、豊岡市内の事業所では女性の役職者が極端に少ない。
それは、市役所でも同じ。市も事業所の一つであり、市役所の長として、申し訳ないことをしてきました。
能力のある人に、女性だからという理由で補助的な役割しか与えなかったことは、事業所として大きな損失でした。」と。
市長のような年齢(60代)の日本の男性が、そのことに気づき、後悔し、申し訳ない、と仰ったことに胸が詰まりました。
絶対に理解して貰えない年齢層の男性、そう思っていたから。
ものすごく希望を感じました。
結婚や出産、育児、そして介護などの仕事における大きなハードルを、社会全体で女性に負わせてきたこと。
それを理由に、能力のある女性を要職につけなかったことは、日本という国は大きな損失をしてきたのではないかと思います。
多様性を受け入れ、支え合うリベラルなまち
豊岡市が基本構想に定めたまちの将来像は、「小さな世界都市」。
これを実現するための主要手段の一つが、「多様性を受け入れ、支え合うリベラルなまち」。
男性だから、女性だから、高齢だから、子どもだから、障がいがあるから、外国人だから、などのそれぞれの違いを受け入れ、
それぞれができることを、それぞれ得意なことを活用して、苦手なことは支え合う関係ができたら。
家庭内で、職場で、地域でその関係を作ることができたら、どんなにステキなまちになるでしょう。
そこで、豊岡市はまずはじめに、“職場”のジェンダーギャップの解消に取り組んでいきます。
豊岡市と厚生労働省兵庫労働局、豊岡市ワークイノベーション推進会議の三者が、令和元年5月8日「豊岡市女性の就労に関する協定」を締結しました。
女性に限定した雇用対策協定は県内初となるそうです。
今、豊岡市の多くの事業所は人手不足に悩んでいます。様々なハードルがあって働くことができない人たちに寄り添って、仕事がしやすい環境や条件を作ることができたら、どちらにとってもいいことだと思います。
コウノトリが豊岡の空を舞うように。
だからって、すぐに解消されるわけではないことはわかっています。
でも。
コウノトリが空を悠々と舞うまちになったように、時間はかかっても、ここでなら成し遂げられることかもしれない。
もし、男だから、女だから、子どもがいるから、障がいがあるから、介護しないといけないから、そのようなことが仕事をする上での支障とならなければ、誰もが幸せに働けるまちになるんじゃないか。
人口が減っていっても、持続可能なまちになれるんじゃないか。
そう希望を持ちました。
私たちならやれる!
そう思います。
※「豊岡市生きもの共生の日」
毎年5月20日は「豊岡市生きもの共生の日」。放鳥したコウノトリから初めてのヒナが誕生した平成19 年5月20日を記念して市が定めた、豊岡市独自の記念日です。 年に一度、自分や、自分以外の命に目を向ける日です。