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わっくとよおか-子どもが“主人公”になれる場所 –

豊岡で子育てをして気づいた“意外な魅力”

豊岡に移住してから、この町の子育て環境の豊かさに何度も驚かされてきました。

自然の近さ、地域の大人たちとのちょうどいい距離感、子どもに向けられるまなざしのあたたかさ。

そしてもうひとつ、県外から来たからこそ気づいた「この町にはこんな場所があるんだ」という発見もありました。

そのひとつが、2022年にオープンした WACCU TOYOOKA(わっく とよおか)です。

JR豊岡駅に直結する商業施設「アイティ」の中にあり、室内で子どもが思いっきり遊べる大型の遊び場です。

埼玉で暮らしていた頃も、帰省のたびに必ず足を運んでいました。
帰省最終日も電車に乗るぎりぎりまでわっくで遊んで、埼玉までの帰りの車内で疲れて寝てしまうまでが“わっく帰省ルーティン”。


雨や雪の日でも濡れずに行ける。車がなくてもベビーカーで電車を下りたらそのまま向かえる。
そんな“移動のストレスがない”環境は、今思えば子育てにおいて本当に大きかったなと感じます。

扉の前でふくらんでいくワクワク

わっくの前に立つと毎回同じ景色があります。

入場時間を待つ間、背伸びしながら扉の向こうの気配をのぞき込む子どもたち。
子どもたちの表情に浮かぶワクワク。

 

扉が開いた瞬間、楽しさに吸い込まれるように走っていく後ろ姿を見て、私はいつも同じことを思っていました。

「ここなら安心して思いっ切り遊ばせられる」

その安心が毎日そばにあることが今はとても嬉しいです。

通いやすさも子育ての味方

そして大人にとっても嬉しいことが。

料金がとっても良心的なんです!

 

▲平日は午前・午後の2部制、土日祝は4クール制。

“気軽に行ける”というシンプルな優しさが、子育ての日常にはありがたいものです。

“あそび道具がいい”だけじゃ説明できない、わっくの魅力。

わっくは世界中のあそび道具を研究してきた「ボーネルンド」と豊岡市の協業でつくられた室内遊び場で、子どもが思いっきり遊び、挑戦できる環境が整えられています。


ボーネルンドはヨーロッパ製の知育玩具や大型遊具を中心に取り扱い、“子どもの遊び × 発達”を追求してきた日本の会社で、我が家はUターンする前の東京や埼玉でも、ボーネルンドの遊び場にはよく通っていました。

そこで感じたのは、あそび道具ひとつひとつが“成長のための仕掛け”になっているということ。

動きや想像力を自然と引き出してくれる。
そんなあそび道具がずらりとそろっている会社なんです。

▲ハイハイ・ヨチヨチの子どもが安心して全身で遊べるゾーン。

▲様々なごっこ遊びのゾーン。

▲はしる・とぶ・のぼる・すべる・まわるなど、全身を動かして遊ぶゾーン。

▲つくる・描く・組み立てるなど、一から生み出す体験ゾーン。

でも都会の施設はどうしても利用料が高く、
とてもじゃないけどわっくのような良心価格で遊べません。

そして、スタッフさんの役割も「見守り・安全確認・必要な声がけ」が中心でした。もちろん、それでも十分ありがたい場所。

でもわっくは違うんです。

ここには“遊びに本気な大人”がいる。

わっくに通い始めて気づいたのは、子どもたちが向かう先があそび道具ではなく、
プレイリーダーのお兄さんお姉さんたち。

そして私はというと、毎回元気なお兄さんがいるかどうかこっそりチェックしていました。

「今日、いるかな」
「いてくれたら嬉しいな」

全力で子どもに寄り添ってくれるので、子どもたちも自然に身をゆだねていくんです。
その姿を見ていると、その安心が親の私にまで伝わってきます。

 

▲大人も子どももみんな全力

都会にいたときは、室内遊び場は何度も通うと飽きてくる—そんなイメージがありました。

でも、わっくは同じあそび道具であっても、子どもが生み出す遊び方も、プレイリーダーさんの声かけも、その日の空気や子どもの年齢層によってまったく変わるんです。

まるで同じ食材なのに毎回違うアレンジで料理が出てくるような…そんな感覚。

だから子どもたちは飽きないし、扉の前でそわそわする期待も何度来ても薄れません。

 

保育園の“行事”にもなる場所。

ここでふと思い出したのが、我が子がまだ保育園に通っていた頃のこと。

保育園の行事の一つとして“わっくで一日遊ぶ日”がありました。

実は他の保育園でも同じ取り組みをしていて、わっくが「遊び場」だけじゃなく「発育の場」として教育現場から信頼されていることを知りました。

「身体づくり」「挑戦する力」「遊びの幅」。

ただ楽しいだけじゃない、子どもたちの成長を支える場所なんです。

でも、どれだけ環境が良くてもそれだけじゃ限界があると思います。
私は、わっくの魅力はやっぱりプレイリーダーさんにあると思います。

あそび道具だけではなく“人”が子どもを伸ばす。

▲りょうまお兄さんがひろきお兄さんをスカウトしたんだとか。

ひろきお兄さんと、りょうまお兄さん。

もうね、子どもより子どもなんじゃないかってくらい全力で遊んで、走って、笑ってくれて、その“熱量そのまま”で、挑戦の瞬間を逃さずキャッチしてくれる。

手が伸びた。
一歩踏み出した。

その小さな“芽”を見つけて、まるで宝物を見つけたみたいに全身で褒めてくれ、その声を聞いた瞬間、子どもの表情が変わる。
「できた」が、ただの成果ではなく“誰かにちゃんと見てもらえた”という自信 に変わる。

すると周りの子が「自分もやってみたい」と動き出す。
挑戦の連鎖みたいな光景が、わっくではいつも起きています。

その光景を見るたびに、子どもの背中を押してもらえるだけではなく、親である私自身やこれまでの子育てまでもが、そっと肯定されたような気持ちになるのです。

▲誰かの“一歩”が次の挑戦を呼んでいく。

スタッフ全員が同じ方向を向いている理由

わっくに通い始めてすぐ、あることに驚きました。

それは“誰かひとりが秀でている”のではなく、スタッフ全員のホスピタリティが高いこと。

私は以前、東京でスタッフ育成の仕事をしていて、オリエンタルランドの企業研修を受け、ディズニー関連施設のスタッフ指導に関わっていました。

どれほど理念が素晴らしくても、みんなが同じ温度で働くことの難しさは身にしみて知っていました。

だからこそ、わっくの空気は不思議だったのです。
どうしてここはこんなにも同じ方向を向けるのだろう?

ある日、りょうまお兄さんにその理由を聞くと、迷いのない言葉が返ってきました。
「ここで働いた経験を、自信につなげてほしいんです。」

わっくは、保育士を目指す高校生が初めてのアルバイトを経験する場所にもなっているそうです。

一人ひとりに時間をかけて向き合い“わっくの一員としての責任感”を丁寧に育てていく。
子どもだけでなく、働く若い大人の背中まで支えている場所なんだと、その時知りました。

“2つの姿勢”

わっくでは、大切にしている二つの姿勢があるそうです。

~① 叱らず、肯定的な言葉で伝える~

“走らないで”ではなく “歩こうね”。
“ダメ”ではなく “どうしたら安全かな”

~ ② “できた”より “やってみた”を拾い、親より先に褒める~

挑戦した“その瞬間”を見逃さずに拾い、親より先にみんなに聞こえるように褒める。

そのたった一言で、子どもたちの背中がほんの少し大きくなり、その姿を見た別の子が「私もやってみたい」と前に出ていく。
挑戦は伝染していきます。

 

▲こころが跳ねると体は自然とついてくる。

その2つの姿勢を知って、だからプレイリーダーさんの周りには自然と子ども達が集まってくるのだと納得しました。

そして、子どもが褒められると親の心もふっとほどけるんです。

家では気づけなかった一面を見て、
「ああ、この子にはこんな芽があったんだ」
と気づかされる瞬間が何度もありました。

子どもが“主人公”になれる場所

わっくではあちこちから「お兄さん、見てー!」「パパ、見てて!」「ママ、できたよ!」そんな声が響いてきます。

誰かに見てほしくて、その一瞬を受け止めてほしくて、小さな体で一生懸命アピールしている。

その声に必ず誰かが応えてくれる。
プレイリーダーさんも、親も、その挑戦に目を向ける。

“見てほしい” がちゃんと届く空気の中で、子どもたちは何度も、何度でも挑戦していきます。

その積み重ねが、自信や意欲、他者への信頼といったいわゆる“非認知能力”と呼ばれる力につながっていくのだと、わっくに通うようになって感じています。

走るのも転げるのも全部全力♪

この町にこんな場所があるということ

帰り道での会話は、いつも同じでした。
「今日は何が楽しかった?」
「ぜんぶ~!」

その“ぜんぶ”の中には、遊んだことも、挑戦したことも、できたことも、できなかったことも、見てもらえた今日の瞬間がまるごと入っています。

子どもの「やってみたい」と、親の「どうしよう」の間に居場所を作ってくれる町。
その安心が少しずつ子育てを前向きにしてくれます。

▲笑い声と挑戦がずっと続く場所

冬の始まりは、「子どもとどう過ごせばいいんだろう」と悩みやすい季節です。

大人ひとりなら天気が悪い日は「家でゆっくり過ごそう」ができても、
子どもがいるとそうはいかない日が沢山あり、気持ちまで行き詰ってしまうことがあります。

そんな時、子どもが思いっきり身体を動かせて、親も「ここなら大丈夫」と思える場所が近くにあることは、想像以上に心強いものです。

 

豊岡での子育てを始めたばかりの方や、
これからの子育ての場所としてこの町を考えている誰かにも
わっくという場所を通してこの町の優しさが伝わるきっかけになるといいな、と思います。

この記事を書いた人

松原 寛子

豊岡市出身。
東京で歌手・ボイストレーナー・MCとして活動していた頃に、お笑い芸人だった夫と出会いました。
その後、双子を出産し、都会での子育てに奮闘する中で「やっぱり自然が身近な場所で子どもを育てたい」と思うように。

2024年5月、家族で「妻ターン」として豊岡へ帰郷。
久しぶりの地元での暮らしは、懐かしさと新しい発見の連続です。

このコラムでは、都会と豊岡の子育て環境の違いや、家族と過ごす中で感じた“豊岡での暮らしの豊かさ”を、等身大の言葉で綴っていきます。

誰かの背中をそっと押せるような、そんな記事を目指していきたいです。

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