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まつじゅんの妻ターンジャーニーin豊岡⑤ ~挑みに来た夫~

どうも、まつじゅんです!

今回会ってきた妻ターン夫は、豊岡市日高町で『探究学習塾ENDY(エンディ)』を運営する亀山裕貴さんです。

実はこの塾、亀山さんが妻ターン移住をきっかけに立ち上げたものなんです。

「ついて来た」のではなく、「挑みに来た」。

そんな妻ターン夫の物語を聞いてきました。

亀山裕貴(かめやま・ゆうき)さん 兵庫県豊岡市日高町在住。探究学習塾「ENDY」塾長。 和歌山県新宮市出身。大学卒業後、自身の出身地の公立中学校で教員として勤務し、2023年に退職。 その後、妻の地元である豊岡市へ“妻ターン移住”し、日高町で小学生向けの探究学習塾を開校。 現在は「子どもが自分の言葉で“問い”を立てられる場所をつくる」ことを目指している。

「受験勉強でないワクワクする学びの場を創りたいと思った」

「正直、地元の新宮は大好きなんです。海も山も近くて、人も温かい。地元で働くことを親も祖母も喜んでくれていて、教員としての仕事にもやりがいがありました。」

亀山さんは24歳で生徒指導主任に抜擢され、若くして責任のある立場を任されました。

しかし、その充実の裏には様々な苦労があったそうです。

「生徒指導主任って厳しく見られる立場なんです。若くして任されたぶん、“失敗を見せられない”“隙を見せられない”という時間が増えていき、気づけば自分が思い描いていた“おもしろい先生”像から少しずれていってしまいました。学生時代に自分が好きでなかった先生を演じる自分がチラつくようになってました。

気がつけば、今の自分に迷いが生じるようになっていたそうです。

転機

「そんな時に、担任をしていたクラスの生徒が“登校日に校内でキャンプをしたい”と言い出したんです。
正直、最初は“勘弁してくれ”と思いました。学校で泊まるとなると、許可や安全管理、保護者への説明など、やることが山ほどある。
“どうしてもやりたいなら、自分たちで準備しなさい”と言ったんです。正直、その言葉で諦めると思っていました。」

ところが、子どもたちは諦めませんでした。
「教頭先生に直談判したり、経理の勉強をして予算を立てたり、大人に企画を説明するために敬語を学んだり。自分たちがやりたいことを実現するために、必要な学びを自分たちで掴みにいったんです。」

その姿を見たとき、亀山さんの中で何かが変わったといいます。

「子どもが本気で“やりたい”と思った瞬間のエネルギーって、先生が教える勉強よりもずっと強い。僕ら大人が“教える”より、子どもたちが自分の力で学びに向かう瞬間こそが教育の本質なんじゃないかと思ったんです。この経験が、自分の中で“新たな教育にチャレンジしたい”という気持ちの原点になりました。」

地元を愛するがゆえの葛藤

しかし、亀山さんの地元への愛着はとても強いものだったそうです。

「地元はすごく好きでした。自分が通った中学校に教師として戻れたのも嬉しかったんです。教え子であり後輩でもある子たちに“かっこいい先輩”として見られたかったし、母校をもっと良くしたいという思いが強かったですね。」

家族の存在も大きいものでした。

「僕は一人っ子で、親も“この子はずっとここにいてくれるんだろう”と思っていたんじゃないかと思います。初孫が生まれてからは、なおさらそう。祖母は一人暮らしで、僕や曾孫と話すのをすごく喜んでくれていて。」

そうした家族の存在に温かさは、同時に“ここを離れていいのだろうか”という迷いにもつながっていきました。

「今のままでも幸せなんじゃないか」と思う気持ちと、変化を求める気持ちの間で葛藤する日々。
そんなときに起きたのが、校内キャンプをするという、生徒たちの思わぬ行動だったのです

妻ターンは僕にとっても挑戦だった

妻に退職して新たな教育の場を創ろうとしていることを伝えると、妻が「あなたなら大丈夫。必ずなんとかなる。」と言ってくれたそう。
その言葉が、亀山さんの決意を後押し。

そのとき新たなチャレンジの場として思い浮かんだのが、妻の地元・豊岡だったのです。

「妻が安心して暮らせる場所を選ぶことで、自分も思い切り仕事に打ち込める環境ができる。そのときの僕は“妻についていく”のではなく、“新しい挑戦をしに行く”つもりだったんです。“妻ターン”って言葉を聞くと、夫が受け身に見えるじゃないですか。でも、僕にとっては“挑戦のための条件”でした。妻の実家が近くにあるほうが、僕は攻めに出られる。そんな考えでした。」

「家族が安心してると、挑戦できる」

▲海外で教育について勉強していたときの様子

豊岡に来て最初に感じたのは、地域の受け入れの速さだったとのこと。 

「“妻の地元です”って言うと、相手の表情がやわらぐんです。それだけで、話が早くなる。これはすごく大きかった。」

その後、海外に教育の視察に行ったりなど入念な準備の後についに探究学習塾ENDYを立ち上げた亀山さん。
朝は不動産業、昼は教材づくり、夜は授業、という多忙な日々。

夜に家を空ける生活が続くなか、支えになったのは妻と家族の存在でした。

「もし知らない土地でゼロからのスタートだったら、妻も不安だったと思う。でも豊岡では、妻の家族が近くにいて、子育ても安心して任せられる。その安心感があるから、僕は全力で挑戦できる。妻ターンって、“家族が安心して暮らせて、自分が夢中になれる仕事ができる。そんな、両方がそろった移住”だと思うんです。」

「妻の地元で、自分の未来を描いていく」

▲ENDYの授業の様子

亀山さんは、最後にこう続けました。

「今は、子どもたちが“自分の頭で考える”楽しさを知る場所をつくりたいんです。
塾というより、“問いを育てる場”。ここで生まれた問いが、やがて豊岡のまちを動かすような種になっていけばうれしいですね。」

豊岡で暮らしはじめて1年。

「自分のやりたい教育を、自分の言葉でやれている。たぶんそれは、豊岡に来たからできたことです。」

そう語る亀山さんの表情は、とても晴れ晴れしていました。

妻ターン移住の可能性

亀山さんの話を聞いていて、「妻ターン移住」は、妻のための選択ではなく、夫にとっても前向きな選択肢になりうるとあらためて思いました。

妻の地元で暮らすことが、夫の挑戦を支える土台になる。
この形こそ、これからの“共に生きる移住”のひとつのスタイルなんじゃないか、そんな可能性を感じました。

では、その妻はこの移住をどう受け止めていたのか。
今回は特別に、妻側の言葉もご紹介します。

妻の声

―なぜ、地元(豊岡)に戻りたいと思うようになったのですか?

 私が「戻りたい」と言ったわけではないんです(笑)。
もちろん、実家の支えがある中で子育てができたらいいなという気持ちはありました。でも義父母にはいつも良くしてもらって感謝しかありませんし、新宮での生活も4年目に入って、気の合うママ友もできていたので、「このまま新宮でもいいかな」と思っていたくらいです。

 

―移住のきっかけとなった出来事や、心の動きを教えてください。

 夫は中学校の教師をとても楽しそうに、全力でやっていました。
でも同時に、「このまま一教員として終えていいのか」と悩んでいる様子もありました。私は教師としての夫を本当に尊敬していましたし、何をしてもきっと成功するだろうと信じていたので、不安はなかったです。「いつ辞めてもいいよ」とはずっと言っていました。

 

―最初に夫婦で豊岡への移住の話をしたときの様子はどうでしたか?

 逆に私のほうが慎重になってしまって。本当に豊岡に移住していいのか、私は最近これからも新宮でもいいなと思えてきたところだ、本当にいいのか、と何度も確認していました(笑)

 

―地元での暮らしはどう変わりましたか?

実家や親戚に頼りやすい環境にいられるのは本当にありがたいです。子どもを育てるという意味でも、実家の近くにいる安心感は大きいですね。

 

―同じように「妻ターン」を考えている女性や家族に伝えたいことはありますか?
それぞれの家庭にタイミングや事情があると思うので、一概には言えませんが、
どちらか一方の思いで決めるのではなく、家族でちゃんと話し合うことが大事だと思います。

最後に

いかがでしたでしょうか。

お二人の話を聞いて、「妻ターン移住」という言葉の印象が少し変わった方もいるかもしれません。

妻の地元に戻るという選択が、夫の挑戦を支え、家族の新しい形をつくっていく。
それは、“お互いが自分らしくいられる移住のスタイルのひとつ”なのかもしれないと思いました。

亀山さんの話を聞きながら、僕自身のことを考えると共感できることが多々あり、自分が思う存分活動できているのは、妻のおかげ、そして妻を支えてくれる実家や地元豊岡のおかげなんだと再確認しました。

 

最後に、これから移住を考えている方へ。
豊岡のまちは、そんな「新たな人生を歩もうとしている家族」にとてもあたたかい場所です。
もし少しでも迷っているなら、一度このまちを訪ねてみてください。
きっと、あなたの挑戦にも寄り添ってくれるはずです。

まずは僕と友達になりましょう!

▲『みんな×エール』で登壇するなど、豊岡で精力的に活動しています

この記事を書いた人

まつじゅん

2024年6月に埼玉から豊岡に移住してきました!現在は豊岡市の地域おこし協力隊として活動しています。
移住前は東京でお笑い芸人として活動していました!(メインの収入はアルバイト!)
こちらでは、妻の出身に移住してきた男性、いわゆる【妻ターン夫】のお話を紹介していきます。
よろしくおねがいします!

https://toyooka.adalo.com/ido

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