豊劇でフジロックならぬプチロック!?vol.2
豊岡ソングの発信を宣言!

フェスの開催&豊岡ソングの発信を豊岡市に宣言(左上)グラレコby Akarin
今回は豊岡プチロックフェスに向けて作った『豊岡ソング』について書きます。
(小さなフェスをやろうかな…)と思い始めた頃、豊岡市主催の『豊岡みらいチャレンジ塾2024』に参加していました。色々な活動をしている女性たちが集まって共に学び、仲間との対話を通して思いをカタチしていく場でした。私はまもなく豊岡市地域おこし協力隊の任期満了を迎えることを踏まえ、最後にひと花咲かせようと『プチ音楽フェス開催&豊岡ソングを全国へ発信』することを宣言しました。
まだその頃は『プチ”ロック”フェス』ではなく『プチ”音楽”フェス』と言っていました。出演者のジャンルがロックに限らず様々だったからです。でも「ジャンル問わずココロがロックならOK!」として、改めて『豊岡プチロックフェス』と命名しました。単純に「フジロックならぬプチロック⁉」と言いたかったからかもしれません(笑)
そして『豊岡ソングを全国へ発信』というのは、具体的にはこういうことです。
1. 市民からコトバを集めて『豊岡ソング』を作ること♪
2. フェスの当日、豊岡市民バンドで『豊岡ソング』を披露すること♪
3. FMジャングルで『豊岡ソング』をかけること♪
1つ目の豊岡ソング作りですが、私は20代の頃に歌い手として音楽の仕事をしていたので、作詞・作曲・歌唱はひとりでもできます。でも『豊岡ソング』は私ひとりで作るのでは意味がありません。市民のみなさんが主役です。学生をはじめとした市民の皆さんから言葉を集めて、歌にしたいと思いました。作詞作曲は豊岡市民で行って、編曲をプロのミュージシャンに依頼することにしました。幸い私の音楽仲間には、CMソングなどの作・編曲を手掛けてきた音楽家がいます。あずみ野FMでパーソナリティーもしている水垣カエル雪絵さんは移住の先輩でもあります。東京から長野へファミリーで移住して、自然を謳歌した生活を送っています。彼女の素敵な生活を知っていたから、私も移住に対してポジティブなイメージを持ったのだと思います。そんな彼女に編曲のお願いをしたところ
「協力できるならめっちゃ嬉しい!やるやる~~🌈」と嬉しいお返事が。豊岡で歌とコードがわかる簡単なデモテープを作って、それをカエルさんへデータで送り、カエルさんの編曲でオケ(歌無しの音源、要はカラオケ)ができたら、最後に豊岡市民で歌を録音するという算段です。
2つ目のフェスで演奏する豊岡市民バンドについてですが、まだ具体的にはメンバーを決めていませんでした。恐らく練習をする時間はあまり無いので、パッとすぐに弾ける人!が条件になるであろうと思っていました。
3つ目のFMジャングルで『豊岡ソング』をかけることについては、但馬唯一のコミュニティラジオ、FMジャングルで、できあがった曲をかける、ということです。
豊岡市地域おこし協力隊としてパーソナリティーをしているので、生放送の中で曲を紹介することができます。また、FMジャングルは全国どこでも、LISTEN RADIOというアプリで聴くことができます。そんなわけで、「全国へ発信!」と大きく宣言しました。
ひょっとしたら世界の誰かも聴いてくれるかもしれません。
市民のみなさんから、果たしてどんな言葉が出てくるかはわかりませんでしたが、
歌にすることでみんながもっと豊岡を好きになったらいいな、
そして
遠方からやって来るアーティストたちにも、
豊岡を好きになってもらえたらいいな、
という想いがありました。
豊岡の日常~その先にある光~

雲海が晴れていくところ(来日岳の山頂にて)
『豊岡ソング』を創るために、コトバ集めワークショップを3回開催しました。
1回目はAity7階で。2回目は演劇祭フェスティバルセンターで。3回目は近畿大学付属豊岡高等学校で。回を増すごとに、参加人数が増えていきました。
初回は2人、2回目は10人。3回目は30人!
コトバ集めのテーマは『豊岡の日常~その先にある光~』です。
「神奈川県から移住してきた」と話すとよく「なんで?」と聞かれます。理由はたまたま声の仕事を探していた時に、ラジオパーソナリティー募集をしていたのが豊岡だったから、なのですが、来てみてこの町の素晴らしさを知りました。コウノトリの野生復帰や城崎温泉、海や滝や山の美しさなど、素晴らしいことはたくさんありますが、私が一番幸せに感じるのは、日常のこと。例えば雨上がり、夕陽が映る田んぼからカエルの大合唱が聞こえてきた時です。人間以外の生き物の方が多い!と感じてすごく嬉しくなりました。
元々ここで暮らしていらっしゃるみなさんにとってはごく当たり前のことかもしれませんが、私には嬉しかったのです。きっとそれぞれ無意識のうちに、そうしたささやかでいて尊い幸せをこの町からいただいて、心を潤しているのではないかな、と思っています。
そんな日常の事を、歌にしたいのだと伝えました。
初回のコトバ集めワークショップでは、人数は少ないながらも『霧』というコトバが出たのは大収穫でした。『霧が出た日は必ず晴れる』という情報も詩的でこれは歌になると思いました。実際にできた曲の大サビ部分で霧が出てきます。陰と陽、両方の表現があることで曲がドラマティックになると思いました。
コトバがたくさん集まってきた!

第2回コトバ集めワークショップ(豊岡演劇祭フェスティバルセンターにて)
豊岡プチロックフェスの前座を務めることが決まっていた市民バンドOctoberzのメンバーが、コトバ集めワークショップに参加してくれました。他にも大学生や地域おこし協力隊OB、豊岡劇場のボランティアさんらが参加してくれました。
みんなも私も探り探りの状況でしたが、話していくうちにたくさんのアイデアが出てきました。そしてのちにサビとなる『なんもない なのになんでワクワクするんだろう』というワードも出てきました。
またOctoberzのギターボーカルであるますださんは当時、町の小さな図書館の本棚オーナーをされていました。訪れた方が自由に書き込めるノートがあり、そこで豊岡ソングのコトバ集めもしてくださることとなりました。本来作詞というのは孤独な作業だと思いますから、静かな図書館で自由に書き込みができるようにしてくださったのは大変ありがたかったです。後日ノートを見てみると、大切な想いがたくさん綴られていました。
陰があるから陽がある。闇があるからこそ光が見える。と思っているので、サブテーマを『その先にある光』としていたのですが、みなさんがそれを汲み取ってコトバを紡いでくださっていると感じました。このノートからも、様々なコトバやニュアンスが曲に反映されました。
(もうこれで曲ができそうだな)と思いましたが、しばらく様子を見ることにしました。
何か足りないとしたら・・・そう。
やはり高校生のコトバが欲しい。けれどその頃は、高校生をどう巻き込んだらよいかわからなくて、困っていました。そんな時に、近畿大学付属豊岡高等学校の軽音楽部に出会ったのです。
軽音楽部になんと30人もの生徒さんが!

はじめましてのご挨拶(近畿大学付属豊岡高等学校にて)
顧問の先生の計らいにより、なんと教室で!約30名の生徒さんたちに豊岡プチロックフェスへの想いをお話させていただくこととなりました。
その場でコトバ集めワークショップも開催させていただけることに!大変ありがたく、サポートスタッフ2名と共に学校へ伺いました。
生徒さんたちにお願いしたのはこの3点です。
・是非フェスに出演して欲しい!
・フェスのスタッフとしてもお手伝いをして欲しい!
・豊岡ソングを創りたいからみんなにも協力してもらいたいんだよー!
みんな真剣に聞いてくれましたが、まだ何をどうしたら良いのかわからない様子。でもアンケートを取ってみたら、ほとんどの生徒がプチロックに出演したい!スタッフもしてみたい!と答えてくれました。とてもありがたい反応でした。
そしてバンドごとに分かれて、コトバ集めワークショップを開催。
さて、どのようなコトバが出てくるでしょうか。
歌を作るという楽しさ

第3回 コトバ集めワークショップ(各バンドに分かれて)
テーマを伝えたけれど、はじめはなかなか筆が進まない様子でした。そこでこちらから、色々と質問をしてみました。すると色々な答えが返ってきました。
「学校には何で通ってるの?」→「自転車」
「どんな景色が見える?」→「田んぼ」
「えーやん!それ書いて」と言った感じに。
中には全然書けない子もいて頭を抱えて、「わからへん~」と言っていたので、
「それならそれでいいんだよ、わからへんて書いておいて」と言ったら、
「わからへんわからへんわからへん」と書いてありました(笑)
そういうリアルな声が嬉しかったです。
また「豊岡には何もない」というイメージを覆す、「知らない場所がまだたくさんある」と書いてくれた子もいました。こうした対比が生まれたのも嬉しかったです。それがこの曲を明るい未来へ繋げてくれました。
およそ1時間のワークショップで、たくさんのコトバが集まりました。
あとでじっくり読んでみると、『鹿』『こうのとり』『ディーゼル列車』といった単語が多かったですが、中にはポエムに近い文章を書いている子もいました。グッときたのは、「電車をわざと一本逃して一時間、二人で待つのが好きだった」といった内容の一文です。豊岡は電車が一時間に一本程度しか来ないのですよね。わざと一本逃すのは、もう少し一緒にいたいからですよね。甘酸っぱいやん!
こうして高校生からのコトバと、大人たちのコトバとを組み合わせてみたら、なんともいとおしくてどこか切ない、豊岡の青春ソングができました。
簡単にOctoberzのますださんと私で、ギターと歌だけのデモを作りました。この時点ではオーソドックスなフォークでした。それをLINEで録音して、長野のカエルさんに「あとは頼んだ!」と編曲を託しました。やがて送られてきたオケは、まるでRCサクセション!ストレートなロックに仕上げてくれました。しかも、「間奏部分はみんなでHEY!HEY!TOYOOKA!といった掛け声を」といった指示も書かれていました。
(えー、それは恥ずかしいかも)とその時は思ったのですけれど、実際にマスダさんと私で歌を多重録音してみたら、フェス感あってすごくいい感じに。ハモリも重ねてみました。ミックスダウンは自宅で行いました。さらに高校生たちの声も入れたいな、と思いましたが一旦完成!
曲名は『今ココTOYOOKA』です。
FMジャングルで初披露したところ、リスナーさんから大好評!CDにしてほしい、という嬉しい声もあがりました。
校内放送に出演

軽音楽部のリーダー(右から2番目)と共に放送部が運営する校内放送へ出演!
これまた軽音楽部の顧問の先生の粋な計らいで、近畿大学付属豊岡高等学校・中学校合同のお昼の放送に出演させていただくことになりました。軽音楽部のリーダーと共に、豊岡プチロックフェスをPR。出来立てホヤホヤの『今ココTOYOOKA』をかけてもらいました。
放送部のお二人(写真左)、ご協力ありがとうございました♪
そしてこのあと教室に簡易機材を持ち込んで、軽音楽部のみんなと歌のレコーディングをしました。照れる生徒たちをなんとか口説いて、二人ずつサビをレコーディング。これを4組ほど。そして間奏の掛け声部分は、手拍子しながら30人全員で!想像以上にいい音声が録れました。
帰り際、軽音楽部の男子数人が出入り口まで見送りをしてくれたのですが、その時に
「この曲を動画にして、YouTubeにアップしたいんだよね」と話したら、そのうちのひとりが
「僕に動画作らせてください!」と言ってくれました。
フェスの前にできるだけ多くの方に、この曲を知ってもらって、当日は一緒に歌って欲しいと思っていたのです。ただ(全て自分でやるには時間が足りない)と諦めかけていたので、本気で嬉しかったです。学業で忙しい中、色々なところで撮影して、編集も途中までやってくれました。本当に頑張ってくれてありがとう!
その間私は、高校生みんなで歌ってもらった声を加えて、自宅で再度ミックスダウンを頑張りました。大勢の掛け声が入って、めっちゃいい仕上がりになりました。今度こそ完成です。
FMジャングルでも完成版をかけたらさらに大好評!次々にリクエストが来るようになりました。
そしてフェスの直前に、動画も完成!
YouTubeにアップしましたので、是非ご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=CBPGuBSNEm0
Imacoco band結成!

Imacoco band (リハーサルスタジオにて)
豊岡プチロックフェスの当日、『今ココTOYOOKA』を演奏する市民バンドを結成しました。
もう本番が迫っていたので、リハーサルは1回限り。
この人ならきっといい感じにしてくれる!と想像できる方に声をかけました。全部で10名になりました!
バンマスは豊岡で生まれ育ち、ラジオパーソナリティーをしつつ音楽も続けていらっしゃる太田博章さんにお願いしました(写真中央)
事前にグループLINEでやりとりをしてバンド名は『Imacoco band』になりました。
そして、リハーサルの日がやってきました。3時間という限られた時間の中で、ギュッと集中して、できあがった音源を元に、自分たちのカラーで演奏を膨らませていきました。
みんなの息が段々とあってきて、大きな元気玉を作っていくかのような感じがしました。
このメンバーに声をかけてホントに良かった!
さあ、いよいよ本番です
今ココTOYOOKA お披露目!

豊岡プチロックフェス(豊岡劇場にて 2025.6.8)
2025年6月8日、豊岡プチロックフェス。エンディングに向かって会場のボルテージはグングン上がっていました。いよいよImacoco bandの登場です!メンバーをご紹介しましょう。
メンバー
・バンマス兼、アコギボーカル:太田博章
・ギターボーカル:ますだ
・ベース:張智恵
・ドラム:吉田開音
・オルガン:橋本麻希
・ピアノ:村尾聡子
・トランペット:田中翔也
・ボーカル:かにやん
・ボーカル:村尾柚香
・ボーカル:kazmy
このメンバーで『今ココTOYOOKA』を熱演しました。スクリーンには動画も流してお客様には歌詞を配布しました。♪僕ら今ココで生きてる!
サイコーに盛り上がりました。この日のライブ音源をFMジャングルで流したところ、これまた大好評で今もリクエストが絶えません。
実は後日談があります。この曲のリリースが、豊岡新市政20周年の記念事業として採択されました!リスナーさんからご要望のあったCD化の実現と、配信もします。20周年記念のイベントで無料配布をさせていただく予定です。詳細は豊岡市からのご案内をお待ちください。
『今ココTOYOOKA』は高校生たちの声も入ったオリジナル版と、豊岡プチロックフェスで演奏したメンバーによるライブ版の2曲入りです。この節目の年に、多くの方に聴いていただけたら大変嬉しく思います。そして豊岡市民みんなの曲として、歌い継がれていってほしいなと思います。
豊岡に住んでいる方だけでなく、誰の胸にも響く歌になったと思います。是非、ご自身のことと重ね合わせてお聴きください。
あなたの元にもこの歌が届きますように。
豊岡新市政20周年記念曲『今ココTOYOOKA』
作詞:豊岡市民(監修kazmy) 作曲:ますだ & kazmy 編曲:水垣カエル雪絵
自転車でだいかい通りを抜け 田んぼ道をゆくよ
頬に雨粒 気にしない いつものことさ
あきらめないって心に誓う かじかんだ手で自信も無いけど
うつむかないって見上げた空に 泣けるくらいのまばゆいレインボー oh
なんもない なんにもない なのになんでワクワクするんだろう
なんもない なんにもないのがいい 大事な事がほら もうすぐわかりそう
僕は今ココで生きてる
学校帰り 道草して 駅まで君と歩く
わざと一本逃して一時間 二人で待つのが好きだった
ディーゼル列車の車窓から見える コウノトリの巣塔が夕焼けに染まる
僕らの町にもまだ知らない場所や 知らないことがたくさんあるんだ oh
何かがある なんでもある だから僕はワクワクするんだろう
なんもない けどなんでもあるんだ多分 大事なことがそう わかったみたいだ
君と今ココで生きてる
Let’s go! hey! hey! hey! hey! T・O・Y・O・O・K・A ×3
Let’s go!
深い霧の日は 何も見えなくなる どこにも行けない ひとりぼっちな気がする
だけど霧の後は そう絶対晴れる 雲ひとつない空に会えるんだ
だからあきらめないって 心に誓う 未来は僕らのてのひらの中さ
うつむかないって見上げた空に あの大きな鳥が羽ばたいてゆくよ oh
なんもない なんにもない なのになんでワクワクするんだろう
めちゃ寒い冬 クソ暑い夏 カエルの大合唱 鹿のパレード 野良猫は微笑む
何かがある なんでもある だからきっとワクワクするんだろう
僕ら今ココで生きてる