豊岡在住vol.1 履きもん
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のもあり、正社員になった。「おはようございまーす」先輩に挨拶すると、「おはよ「わたしの貯金の管理とか、生協の注文までしてくれて、そのかわりにわたしは一緒にスマホの機種変しに行ったさんだと思ってます」フロントに入ったら今日の予約状況を確認して、予約けながら向きを揃えて並べていく姿は、まるで職人みたいだ。教えてもらいながら、だんだんと英語も上達したそうだ。語で話せるようになったし、英語でジョークだって言えるようになったんです」らいだ。カメムシがたくさん出る年は大雪だっていうけどなぁ……。出る水が解けかけた雪と混じってベチョベチョになる。だから冬は、晴れていても長靴を履く。うだ。12月も半ばを過ぎると、早朝は路面が凍る。地元いものは寒い。ちゃうし」朝から出勤の時もあるけれど、今日は昼から出勤。ですよ」やって来た。とにかく全国どこでもいいので旅館で働きたい。4ヶ月くらい働ければ十分だろう。そんなふうに1月。どんより曇っている。もうお昼過ぎだというのに、風が冷たい。今年は、道路に全然雪が積もっていない。ときどき雨が雪に変わったな、と思うことがあるく城崎に来て初めての冬は、雪の多さにビックリしたその人に言わせれば昔に比べると雪も減ったらしいが、寒「寒い寒いと言いながら、結構薄着じゃないですか?」「暑がりなんですよ。旅館まで早歩きで行けばすぐ着い今日はフロント業務なのでスカートスーツにフリースの上着。長靴を履いているとはいえ、やはり寒そうだ。「昼出勤だと前の日の夜はついつい夜更かししちゃうん空模様とは裏腹に、お日様みたいに明るく笑う。瀬羅さんは、大阪から派遣社員として城崎の旅館へ漠然と選んだ城崎に、別段こだわりはなかった。それが気付けば1年経ち、2年経ち、派遣の契約が終わる頃、正社員登用の話が持ち上がった。仕事もたのしくて働く柳の道を歩く。瀬羅さんは、豊岡に来てまず傘と長靴を買ったそうだ。大阪に住んでいた頃は雨が降ったら地下を歩け雨が多く、冬は雪が降るため、長靴は必城崎の真ん中を流れる大谿川沿いのば良かったけど、ここにはない。豊岡は需品だ。冬になると道路の融雪装置から環境も良い。それに城崎から動くのが面倒くさくなった旅館に着くと、内履きに履き替える。う。あ、えりえり」と背後に回って襟を直される。「瀬羅さんが人間やってるより長くここで働いてるの〜」と笑いながら話す、ベテランのパートさん。り、スマホ講座したりするんです。本当にこのまちのお母人数分のスリッパを並べる。きっちりと等間隔に間を空城崎は海外からのお客さんも多い。初めは単語と身振り手振りでしのいできたが、英語を流暢に話す若女将に「今ではそのお客さまにあった城崎のおすすめなども英case.02 瀬羅さんの場合なんとなく辿り着いた城崎11

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