豊岡での生活に足りなかったもの。アートがある暮らし。

豊岡市の北にある城崎温泉街の、そのはしっこ。

イガキフォトスタジオ(我が家)から徒歩2分の場所に、

子どもたちが大好きな場所、

わたしも大好きな施設があります。

 

城崎国際アートセンター(KIAC)

 

実はわたし、

このアートセンターがなければ、

豊岡での生活が、 ちょっとしんどくなっていたかもしれません。

 

有名芸能人の気持ちがわかった。

都会にいた時の生活は、
「オン」と「オフ」がしっかりしていました。

家から出ると、人はたくさん行き来しているけれど、
知っている人には滅多に会いません。

さっきまではニコニコ笑顔で仕事していても(オンの状態)、
疲れたー、 って顔して電車に乗って……(オフの状態)、
まぁ、滅多に知り合いに出くわす事はありません。

 

でも、ここでは違います。

 

朝、外に出たら、もう知っている人だらけ。
買い物に出ても、
どこに行っても知り合いに会います。
車で30分くらいかけて出かけても…、

 

知り合いに会います!

 

最初は本当に驚きました。

どこに行っても、主人の知り合いだらけ。

え??みんな知り合いなの????

そうなんです。

まるで有名芸能人並みに、みんな主人を知ってるんです!!

芸能人と違うのは、

主人も相手を知っている、ということ(笑)。

 

 

はじめは、都会での暮らしを寂しいと感じていた私は、

挨拶できる人がたくさんいることを、

幸せだなぁと感じました。

地域の人とのつながりは、子育て中には、何より心強いことです。

でも、
だんだん慣れてくると、

みんなが私を知っているって、
ちょっとしんどいな。息が詰まるな。
と感じることも出てきました……。

 

だって、

ずーっと「オンの状態」のような、そんな感じ。

まさに、有名芸能人の悩みのよう(笑)。

 

 

 

そんなとき、このアートセンターができたのです。

 

 

 

アートセンターは何をするところ??

小㞍健太×森永泰弘×瀬山葉子『Surface and Destroy』

 

舞台芸術を中心とした滞在型の創造活動、

アーティスト・イン・レジデンスの拠点です。
聞きなれないと難しいですね。

公演ができるホール、

練習などができるスタジオ、

そして、レジデンス(宿泊施設)で構成されています。

ホールの使用料や宿泊費などは無料です。

公募によって選ばれたアーティストが利用できます。

ここに、

世界中からアーティストがやってくるのです!

 

世界中から?
作品を作るためだけに?
こんな遠くに??

と思いますよね。

 

でも、城崎までの旅費なんて、
長期でホールやスタジオ借りたりする金額を考えるとずっと安いそうです。
(アートセンター芸術監督の平田オリザさんがおっしゃってました。)

日本が初めて!という方も、

関空などから入国し、どこにも寄らずに城崎に来てくれたりするのです。

ここにくれば、

「朝起きたらすぐ」から、「寝るギリギリまで」制作ができます。

ぐっと集中して制作出来るので、かなりはかどるそうです。

しかも、城崎には温泉がある!

城崎の七つのお湯のひとつ、鸛の湯。この写真は、私が撮って、お土産屋さんで販売してもらってる絵葉書の写真です。

 

温泉に入れる!!というのも大きな魅力です。

ダンサーの方に話を聞くと、 「温泉に入った時の体の回復の速さに驚く!!」 そうです。 他のアーティストの方たちも、 「制作の合間に温泉に入れるしあわせ!」 と絶賛してくださってました。

たしかに、
「城の崎にて」の著者である志賀直哉さんも、
東京の山手線に轢かれて
遠く、城崎まで体を治しに(湯治)来たんですよね。

昔はみんな、城崎には体を治しに来てたんです。

そう考えると、
城崎は、最高の練習場所、制作場所だと思いませんか?

 

 

では、
アーティストに無料で提供して、
豊岡市にとって何かいいことがあるのでしょうか。

豊岡市にとって、いいこと。

コドモ発射プロジェクト「なむはむだはむ」岩井秀人・森山未來・前野健太 こどもワークショップ

 

アーティストは世界中の公演に、
制作をした場所の地名、
「Kinosaki」のクレジットを連れて行ってくれます。

つまり、
世界中の、アートに関心のある人が、
城崎に興味を持ってくれるチャンスがあるということ。
それってすごい宣伝になります。

しかも、城崎ってどこ?って聞かれたアーティストは、
すごくいいとこだったよー。
温泉もよかったし、人も親切だった。(^^)
って話してくれる。はず!!!!

実際に、
アートセンターに滞在したアーティスト本人、家族、友人が、
プライベートで城崎に旅行に来てくれています!

 

それだけではありません。

無料、もしくはとても安い金額で、
音楽やダンスなどのワークショップをしてくれていたり、
公開リハーサルや公演を見せてくれます。

神戸や大阪、東京まで行かなくても、
世界規模で活動するアーティストを豊岡で見られるのです。

 

今後の公演、イベントのスケジュール

アートは難しい?

アートや芸術は難しくてわからない。

私もそう思ってました。

でも、
わからなくていいんです。
何も言いたいことなんてないのだから。(平田オリザさん)

え????そうだったの???
何が言いたいかわかろうとしてしんどかったのにー!!

そう聞いて、
とても楽になりました。

 

そういえば、子どもたちは、
全編英語の作品でもおもしろがって見ていたし
(やなぎみわ演劇公演「ゼロ・アワー」)、

韓国語と英語が混じり、歴史がわからないと難しい作品も、
おもしろかったー!もっと見たい!!続きはどこで見られるの??
って言ってました。
(岡田利規『God Bless Baseball』滞在制作成果発表上演&トーク)

 

どこが???

動きが!喋り方とか!って(笑)。

へぇーーー!!

そう見ればいいのか!!
気楽に、
「わけがわからんなぁー。」
って思いながら見てると、たしかに結構おもしろい。

別に、
評論したり、感想文書かないといけないわけじゃないですしね。

なんだかわからなくていいんだ。

 

 

 

世界中からハガキが届くようになりました。

うちの子どもたちは、
ここでいろいろな人と触れ合うことができています。

特に、長期間滞在する「よその人」との出会いは大きい。
しかも、身近にはいない種類の人、
芸術で食べている大人

世の中にはいろんな大人がいるんだなぁ、
ってことを感じるだけで、
子どもの世界が広がる気がしています。

心がつながった人とは、
遠く離れても、Facebookでつながったり、
世界中からハガキを送ってくださったり、
こちらも年賀状を出したり、と交流が続いています。

アーティストは、気難しいイメージがありました。
でも、
知り合ってみると、
社会での居場所に苦労された、心のやさしい方が多い気がします。

 

舞台撮影のおしごと。

横浜ダンスコレクション高橋萌登×ユン・ボラム『Coincidance in Between』公開リハーサル

 

現在は、主人かわたしが、
アートセンターに滞在するアーティストの記録写真を撮らせていただいています。

©igaki photo studioのクレジットも、
アーティストによって世界中に運ばれていきます。

ひゃー!!

毎回、わくわく、ヒヤヒヤしながら撮影しています。

そのおかげで、
コンビニで売ってるような雑誌のお仕事もさせていただくことができました。

ロビーは解放されています。

時に、子どもたちの遊び場になっています。

学校から帰って、本を読みに行ったり、遊びに行っています。

ペッパーくんもいるし、お気に入りの場所です。

 

動く本棚もある!

ロビーにはいろんな本が並んでいて楽しい。

これは、ブックディレクター幅允孝さんによるもの。

 

絵本もあります。

マンガもあります。

 

事務所をのぞいてみると。

めっちゃ笑顔をしてくれたゆうひくん。

地元出身の、技術主任。

23歳の若さで、世界中から来るアーティストと対等に仕事をしています!

子どもたちに大人気。

移住者仲間のアートコーディネーター、マッキー。

優しいお姉さんです。

有名な館長も、

(新聞雑誌などでよく取り上げられているので、ここでは取り上げません(笑)ステキなママ友です。(男性ですけどw))

この日はいなかったけれど、市民ライターのゆりえちゃんもいます。

 

お仕事の手が空いてる時には、子どもたちと遊んでくれています。

みんな、とてもやさしい。

 

もちろん、

お仕事の邪魔をしてはいけない、

と子どもに言い聞かせています。

世界に通じるどこでもドア。

Ashi-yu Meeting滞在制作 ライブ・インスタレーション『Ashi-yu』公開リハーサル

 

アートセンターが出来て、あちこちでいろんな変化が起きていると感じています。

今はまだ、はっきり目には見えない変化だけれど、
アートセンターのあるこの町で育った子どもたちが、
大人になった時が楽しみでなりません。

 

アートセンターは私にとって、「世界に通じるどこでもドア。」

 

エプロン脱いで、

「ちょっと行ってくるわ。」

と我が家から2分でいけちゃう別世界です。

「オンの状態」ばっかりで疲れた。。。

って思ってた狭いところから出て、

世界に広がる空気を感じることができる。

なんだかわからないけど、ゾワゾワする感じが味わえる場所です。

 

実は今まで、

たいして必要だと感じていなかった芸術の世界。

でも、芸術が「暮らし」に必要なわけが、

ここに来て初めてわかったのでした。

 

城崎国際アートセンター 

兵庫県豊岡市城崎町湯島1062  TEL 0796-32-3888

この記事を書いた人

井垣真紀

フォトグラファー。
関西を中心にフリーアナウンサーとして活動したのち、2006年、城崎温泉にある写真スタジオに嫁ぎ、移住。
三姉妹の母。週に二回はカフェも営業している。

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